恋神様に願いを込めて



次の日も、朝から話しかけてきた五十嵐を無視して一日中避け続けた。


もし五十嵐と話してしまったら、また余計なことを言って傷つけてしまいそうで怖いから。


五十嵐を傷つけてしまうなら、嫌われた方がマシだった。



「あ、ねえ、そこのツインテール」



今日の放課後も真っ直ぐ家に帰ろうと廊下を歩いていると、急にストレート黒髪ロングの女の子がひょっこりと前に現れた。



「グラウンドってどこかしら?サッカー部の練習見に行きたいんだけど」


「…グラウンド?靴箱の左を真っ直ぐ行けば…」


「わからないから、連れて行ってちょうだい」



ロングの女の子はレンと名乗った。


レンをグラウンドに連れて行くと、既にサッカー部ファンの女子達が数人集まって試合を観戦していた。



「ここがグラウンドだよ。誰かに用事でもあるの?」


「いいえ、ただサッカー部というものが気になって。…どうしてこんなに女子が多いの?」


「みんなサッカー部に好きな人とか推しみたいなのがいるからだと思う。まあそれもほぼ五十嵐ファンだと思うけど…。あ、あそこにいるのが五十嵐」



五十嵐がシュートを決めると、群がっていた女子達の歓声が一際大きくなった。
< 60 / 95 >

この作品をシェア

pagetop