恋神様に願いを込めて
「ふぅん、あれが五十嵐ね。なかなかかっこいいじゃない」


「え?」


「結芽花はサッカー部の中に好きな人とかいないの?」


「…え!?い、いない、よ…」



封印した想いが出てきそうになり、慌てて首を横に振る。



「それに、私は気持ちを伝えることが苦手なの…。いつも余計なことばっかり言っちゃって、相手を傷つけちゃう。こんなひねくれた私が誰かを好きになったって、辛いだけだよ」



だから五十嵐を好きでいることはもうやめる。


五十嵐を好きでいる資格なんて、私にはないから。



それに最初から無理だとわかっていた。


あんな女たらしの男を好きでいても苦しいだけだ。何も楽しくない。



それなら、まだ戻れる今の段階でこの気持ちをなくしちゃえばいい。



「へぇーそうなんだ。それより、あの五十嵐って男。かっこいいから、好きになっちゃいそう。五十嵐のことで他に何か知ってることがあるなら教えてくれないかしら?」



五十嵐のことを好きになる…?



「え、あでも…あいつ本当ろくでもない女たらしだよ?レンはやめといた方がいいんじゃないかな…」


「どうして?私は別に五十嵐が女たらしでもいいわ。いつか私一人を愛してくれるかもしれないでしょ?やる前から諦めてどうするのよ」
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