恋神様に願いを込めて
「充希先輩が好きって嘘だよ」


「…え?」


「本当の私の好きな人は、女たらしで口がうまくて、好きになったら絶対辛いだけ。…それでも、嫌われて一人の私にいつもしつこいくらい関わってくれて、そばにいてくれて。そんな五十嵐だから、好きになっちゃったんだよ」


「…え?え!?好き?今、俺のこと好きって言った!?」



驚いたように目を見開く五十嵐が面白くて、思わず吹き出す。



「本当に!?本当に俺なんかでいいの!?」


「だからいいって言ってんでしょ。しつこいな」


「ええ、さっきまで素直だったのにー。まあ、俺はいつものツンデレな結芽花ちゃんも好きだけど」



五十嵐が壁に手をつけて、ゆっくりと顔を近づけてきた。



「…って、待って!こんなとこで何しようとしてんの!?」


「え?何って、この流れだとキスじゃない?」


「ば、ばっかじゃないの!人が来るかもしれないでしょ!」


「大丈夫だよ、来ない来ない。…それとも、結芽花ちゃんは嫌?」


「べ、別に、嫌じゃないけど…」



そう言うことがわかっていたかのように五十嵐がふっと微笑んで、口元を押さえていた私の手をゆっくりと解いて唇を重ねてきた。
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