アマノカワ

 いきなり冷たい風が吹き上がって、髪が後ろにたなびいた。 

 (私のこと、覚えてるかな、)

 そう思って見つめ返したが、目が触れ合った瞬間、私は嬉しさと恥ずかしさと罪悪感が激しく込み上げてきて、すぐに目を逸らしてしまった。

 でも驚いたのは、君が私のものだった剣を手に握っていたことだ。

 前回の天野町との戦で家の倉庫から強奪されて、悲しく思っていたのに。

 でもその悲しさは既に安心に変わっていた。

「気づいてくれるかな、私の名前。柄の部分に掘られた、瑠川 楓(るかわ かえで)の名前。」
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