アマノカワ
俺は血眼でそれをみつめて、
もう一度刺そうとするそいつを刃渡り30cmほどの君の剣で切り崩した。
それが反射した氷の光は、月の明かりよりも輝きを放っていた。
俺は重すぎる罪悪感と絶望的な状況に肩から崩れ落ちる。
でもそんな横で君があまりにも痛いって泣き叫ぶから、意識を取り戻してただただ止血をするだけだった。
「なんでだよ、なんでこっちに走ってきたんだよ。なんで俺の名前知ってんだよ。」
「それ…」
俺の問いを全て無視して発せられた言葉と赤色の指を向けられた場所は右のポケットで、そこからは一枚のしおりが顔をのぞかせていた。
彼岸花を押してラミネートしたしおりだ。
これは離れ離れになってしまった友達がくれたもので、どこかで迷子になった時にその彼女が近くに咲いていた彼岸花を摘んで、俺の手を握ってくれた。
それで、親の元まで導いてくれたんだ。
「これがどうしたの」
そう聞き返そうと顔をそこに向けた時、剣の柄の部分が血に染められていて、文字が浮かび上がっていた。
その文字を見た瞬間、俺は全ての色を取り戻した気がした。
飲んでも飲んでも涙が溢れ出てきて、止血する手は殆ど全部の力で圧迫し続けていた。