アマノカワ

――「おい、響起きろ。」

 母に頬をべしべしと叩かれながら起きたこの日は戦前の準備をしようと話していた日だった。

 まだ未成年なので徴兵はされないが、万が一のときに武器がなければ死ぬだろうということで、まず前回の紛争で強奪してきたという武器の山からそれらしいものを探すことにした。

 武器を探すために歩いているとなにか唐突に冷たいものが体に落ちてきた。

「春のくせに雪降ってやがる。」

目的の場所までは思っていたよりも近かったようで、頭に雪が積もる心配もなくすぐにたどり着いた。

  武器山から使いやすそうな鍬を見つけたので引っ張りだそうとしたが、鍬の出っ張っているところが引っかかって、色々なものが崩れ落ちてきてしまった。

「うわぁっ!」 

 そう叫びをあげるのと同時に、カシャンッと何かが一際高い音を響かせる。

思わずそちらに目をやると、なんと言えばいいだろうかいや、言葉にしようとすることが間違いなのだと、それほどまでに立派な剣が陽光を反射していた。

「なにこれ…」

 やはり俺はものすごくそれに惹かれて、すぐに手にとると、ますます離したくなくなってしまった。

こういうものは本当は兵隊さんに使ってもらった方がいいのだろうけど、母に言って内緒で貰っていくことにした。
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