お前の全てを奪いたい【完】
深夜、真美と別れた俺は一人繁華街から遠ざかっていく。
俺は女とホテルには行くが、決して泊まる事はしない。一緒に過ごすのはあくまでも行為が終わるまでと決めている。
ふと夜空を見上げていると、ポケットに入れていたスマホのバイブが振動している事に気付いた俺は、こんな時間に一体誰が掛けてきたのかと確認する。
表示されているのは見知らぬ番号。
普通なら、知らない番号なんてスルーする。ましてやこんな夜中なら尚更。
けど、今は一つだけ心当たりがあった。
それは、環奈からかもしれないという事。
この前、俺は自分の番号を教えたけれど、環奈の番号は敢えて聞かなかった。
それは何故か、知ってしまえば、俺の方から掛けてしまいそうだったから。
それに知る時は、俺を頼って掛けてきた時が良いと思っていたから、未だに環奈の番号は知らない。
だから、この番号が環奈のものかもしれないと思った俺はすかさず電話に出た。
「――もしもし?」
「…………っ、万里、さん……」
「環奈? どうした?」
「…………っ」
すると電話の主はやはり環奈だったのだが、何やらただ事ではない雰囲気で、彼女は泣いているのか言葉を詰まらせる。
「どうした? 何があったんだ?」
「……お、お客様に、アフターに誘われて……食事をしたまでは良かったんですけど……途中で意識が無くなって……気付いたら、ベッドの上で……っ私……どうしたらいいか……」
「どこのホテルか分かるか? 名前、どっかに書いてあるだろ?」
「…………えっと、……【La・Pause】……って、書いてあります……」
「La・Pauseだな……分かった。お前、今一人なのか? 相手の男は?」
「居ません……」
「とりあえずすぐに向かうから待ってろ」
正直、この内容の電話は予想外だった。
頼られる時は、彼氏絡みでだけだと思ってたから。
しかし、今はとにかく環奈の元へ急ごうと、俺は来た道を引き返して行く。
俺は女とホテルには行くが、決して泊まる事はしない。一緒に過ごすのはあくまでも行為が終わるまでと決めている。
ふと夜空を見上げていると、ポケットに入れていたスマホのバイブが振動している事に気付いた俺は、こんな時間に一体誰が掛けてきたのかと確認する。
表示されているのは見知らぬ番号。
普通なら、知らない番号なんてスルーする。ましてやこんな夜中なら尚更。
けど、今は一つだけ心当たりがあった。
それは、環奈からかもしれないという事。
この前、俺は自分の番号を教えたけれど、環奈の番号は敢えて聞かなかった。
それは何故か、知ってしまえば、俺の方から掛けてしまいそうだったから。
それに知る時は、俺を頼って掛けてきた時が良いと思っていたから、未だに環奈の番号は知らない。
だから、この番号が環奈のものかもしれないと思った俺はすかさず電話に出た。
「――もしもし?」
「…………っ、万里、さん……」
「環奈? どうした?」
「…………っ」
すると電話の主はやはり環奈だったのだが、何やらただ事ではない雰囲気で、彼女は泣いているのか言葉を詰まらせる。
「どうした? 何があったんだ?」
「……お、お客様に、アフターに誘われて……食事をしたまでは良かったんですけど……途中で意識が無くなって……気付いたら、ベッドの上で……っ私……どうしたらいいか……」
「どこのホテルか分かるか? 名前、どっかに書いてあるだろ?」
「…………えっと、……【La・Pause】……って、書いてあります……」
「La・Pauseだな……分かった。お前、今一人なのか? 相手の男は?」
「居ません……」
「とりあえずすぐに向かうから待ってろ」
正直、この内容の電話は予想外だった。
頼られる時は、彼氏絡みでだけだと思ってたから。
しかし、今はとにかく環奈の元へ急ごうと、俺は来た道を引き返して行く。