お前の全てを奪いたい【完】
俺は『repos』という、この界隈では人気を誇るホストクラブで数年前からずっとNo.1を取り続けてる。
初めはほんの好奇心から足を踏み入れた世界。
金に困っていた訳じゃ無いし、ホストという職業は単なる暇潰しのようなものだった。
ただ笑顔を向けて優しい言葉を掛けると、それだけで大抵の女は落ちていき、月末になると売り上げで順位が明確になり、何をやっても中途半端で大した成果を上げた事の無かった俺が初めて取った『一位』という数字。
俺にとってそれは酷く特別に感じられ、これが自分にとっての天職かもしれないと思い、暇潰しの為に始めたホストを続ける事に決めた。
そんな俺は恋愛に興味が無く、これまで特定の彼女を作った事は無い。
理由としては、面倒な事には関わりたく無いという思いが一番大きかった。
だから、客に惚れられて本気になられるのが何よりも好きでは無いけど、ホストは女に夢を見せるのが仕事だから、俺は自分の中で一つのルールを設けた。
金で繋がる関係ならば面倒な事にはならない、あくまでも仕事の延長だと自分に言い聞かせ、面倒臭くても金さえ積まれれば、例えどんなに不細工でも、心が醜くくても、年齢が離れてても、拒む事無く誰とでも寝よう――と。
勿論、枕営業は店としては御法度だけど、勤務時間外であれば結局は本人たちの自由な訳で、互いに好き合っているか営業の延長なのかなんて当人たちにしか分からない。
それ故に店としてはもはや黙認しているようなものだったのと、常にNo.1を張っていて誰よりも店の売上に貢献している俺に意見する人間は誰も居なかった。
だから俺は今日もまた、常連客に偽りの笑顔を向けながら、ホスト『芹』を演じている。
初めはほんの好奇心から足を踏み入れた世界。
金に困っていた訳じゃ無いし、ホストという職業は単なる暇潰しのようなものだった。
ただ笑顔を向けて優しい言葉を掛けると、それだけで大抵の女は落ちていき、月末になると売り上げで順位が明確になり、何をやっても中途半端で大した成果を上げた事の無かった俺が初めて取った『一位』という数字。
俺にとってそれは酷く特別に感じられ、これが自分にとっての天職かもしれないと思い、暇潰しの為に始めたホストを続ける事に決めた。
そんな俺は恋愛に興味が無く、これまで特定の彼女を作った事は無い。
理由としては、面倒な事には関わりたく無いという思いが一番大きかった。
だから、客に惚れられて本気になられるのが何よりも好きでは無いけど、ホストは女に夢を見せるのが仕事だから、俺は自分の中で一つのルールを設けた。
金で繋がる関係ならば面倒な事にはならない、あくまでも仕事の延長だと自分に言い聞かせ、面倒臭くても金さえ積まれれば、例えどんなに不細工でも、心が醜くくても、年齢が離れてても、拒む事無く誰とでも寝よう――と。
勿論、枕営業は店としては御法度だけど、勤務時間外であれば結局は本人たちの自由な訳で、互いに好き合っているか営業の延長なのかなんて当人たちにしか分からない。
それ故に店としてはもはや黙認しているようなものだったのと、常にNo.1を張っていて誰よりも店の売上に貢献している俺に意見する人間は誰も居なかった。
だから俺は今日もまた、常連客に偽りの笑顔を向けながら、ホスト『芹』を演じている。