お前の全てを奪いたい【完】
俺は早速あのクズ野郎探しをする事にしたが、アイツの事で知っていると言えば、バンドマンである事と、『一聖』という名である事の二つだけ。
とりあえず近くのスタジオで聞き込みをしてみたものの、バンドをやってる時は別の名前があるのか、『一聖』というバンドマンは知らないという。
こうなると、スタジオやライブハウスを片っ端から探すしかない。
昼間は男を探す為にスタジオやライブハウスを渡り歩き、夜は店で女の相手をするという生活を数日続け、環奈と連絡が取れなくなって一週間が経ったその日、ようやく男の身元が判明した。
喜多見 一聖。
実家がそこそこの金持ちらしく、以前は会社で働いていたらしいが揉め事を起こして辞め、親には資格を取る為に勉強をしたいからと今は無職で仕送りをして貰っているというクズっぷりだ。
それでいて環奈をキャバクラで働かせてその金をも巻き上げ、最近ではバンドの練習以外は常にパチンコ屋に入り浸っているという。
本人曰く、『俺は必ずバンドで成功して売れてやる』と意気込んでいるらしいが、メンバーと方向性の違いが出ていて活動自体が危ういらしく、荒れているという。
喜多見の住まいを知っているという男を締め上げて場所を吐かせた俺は自宅マンションへ向かい、部屋の前までやって来た。
すると、
「クソっ!」
「お願い、一聖くん……もうやめてっ」
「うるせぇんだよ! 黙れよ!」
「きゃあ」
男の怒鳴り声と女の悲鳴が聞こえて来る。
その声を聞いた瞬間、俺は呼び鈴を鳴らし、殴りつけるようにドアを叩きながら、
「環奈! 居るんだろ? ここを開けろ!!」
そう叫んでいた。
その声で急に静かになった室内。ドアを勢い良く閉める音が聞こえてから少しして、喜多見が鬱陶しそうな表情を浮かべながら玄関を開けて来た。
「……どちらさま?」
「おい、環奈を出せ」
「はあ? いねぇよ」
「ふざけるな! 声が聞こえて来た。ここに居るのは分かってんだ」
「うっせぇな、お前誰だよ?」
「忘れたか? HEAVENで一度、会ってるよな?」
喜多見は俺の事を忘れていたようだがHEAVENでの事を言うと思い出したのか、みるみる表情が険しくなっていく。
「テメェは、あの時の! おい、環奈は俺の女だ。誰の許可得て名前で呼んでんだよ? ああ?」
威勢だけは良さそうだが、こういう男は勢いだけの雑魚だろう。
ただ言葉で敵意を向けて来る喜多見とは違い俺は男の胸ぐらを掴むと、
「もう一度言う、環奈を出せ」
殺気に満ちた表情を浮かべながら凄んで見せた。
とりあえず近くのスタジオで聞き込みをしてみたものの、バンドをやってる時は別の名前があるのか、『一聖』というバンドマンは知らないという。
こうなると、スタジオやライブハウスを片っ端から探すしかない。
昼間は男を探す為にスタジオやライブハウスを渡り歩き、夜は店で女の相手をするという生活を数日続け、環奈と連絡が取れなくなって一週間が経ったその日、ようやく男の身元が判明した。
喜多見 一聖。
実家がそこそこの金持ちらしく、以前は会社で働いていたらしいが揉め事を起こして辞め、親には資格を取る為に勉強をしたいからと今は無職で仕送りをして貰っているというクズっぷりだ。
それでいて環奈をキャバクラで働かせてその金をも巻き上げ、最近ではバンドの練習以外は常にパチンコ屋に入り浸っているという。
本人曰く、『俺は必ずバンドで成功して売れてやる』と意気込んでいるらしいが、メンバーと方向性の違いが出ていて活動自体が危ういらしく、荒れているという。
喜多見の住まいを知っているという男を締め上げて場所を吐かせた俺は自宅マンションへ向かい、部屋の前までやって来た。
すると、
「クソっ!」
「お願い、一聖くん……もうやめてっ」
「うるせぇんだよ! 黙れよ!」
「きゃあ」
男の怒鳴り声と女の悲鳴が聞こえて来る。
その声を聞いた瞬間、俺は呼び鈴を鳴らし、殴りつけるようにドアを叩きながら、
「環奈! 居るんだろ? ここを開けろ!!」
そう叫んでいた。
その声で急に静かになった室内。ドアを勢い良く閉める音が聞こえてから少しして、喜多見が鬱陶しそうな表情を浮かべながら玄関を開けて来た。
「……どちらさま?」
「おい、環奈を出せ」
「はあ? いねぇよ」
「ふざけるな! 声が聞こえて来た。ここに居るのは分かってんだ」
「うっせぇな、お前誰だよ?」
「忘れたか? HEAVENで一度、会ってるよな?」
喜多見は俺の事を忘れていたようだがHEAVENでの事を言うと思い出したのか、みるみる表情が険しくなっていく。
「テメェは、あの時の! おい、環奈は俺の女だ。誰の許可得て名前で呼んでんだよ? ああ?」
威勢だけは良さそうだが、こういう男は勢いだけの雑魚だろう。
ただ言葉で敵意を向けて来る喜多見とは違い俺は男の胸ぐらを掴むと、
「もう一度言う、環奈を出せ」
殺気に満ちた表情を浮かべながら凄んで見せた。