お前の全てを奪いたい【完】
「久しぶりだね、花蓮」
「芹さん、ごめんなさい、なかなか来られなくて」
真美がさっき馬鹿にしていた女――今野 花蓮は、全くと言っていい程着飾っていないせいか華やかさは無いけれど、元が良いのか薄化粧だけどなかなかの美人だったりする。
「謝らないでよ。こうして会いに来てくれて嬉しいよ」
言いながら俺がすぐ横に腰を下ろして彼女の肩を抱くと頬を真っ赤に染め、身体を少し強ばらせているのが分かる。
「いい加減慣れようよ、ここへ来るようになって、もうすぐ半年だろ?」
「そ、それはそう……なんだけど……芹さん格好良いから、やっぱり緊張しちゃって……」
「そう言って貰えるのは嬉しいけど、もう少し慣れて欲しいなぁ」
それというのも花蓮は元から男慣れしていなくて、ここへ通うようになったのも『男慣れしたいから』という理由が始まりだった。
初来店した時に比べればかなり成長はしたものの、身体に触れられたりするのはまだ慣れないらしく、初心な反応を見せている。
(花蓮みたいな女は、相手する分には楽だよな)
真美とは違いがっついていない、化粧も薄い、派手さも無い花蓮は相手をするのに物凄く楽だった。
基本お酒を飲みながら話をする事が一番の目的らしい花蓮は、会えなかった期間に起きた出来事などを話してくれるから、俺はそれに相槌を打ちながら酒を飲む。
「失礼します、芹さん、真美さんがだいぶお怒りで……その、シャンパンタワーをするから戻って来いと……」
そんなさなか、真美がもう待てないと気を引く為かシャンパンタワーを入れるから俺に戻れと言う。
(相変わらず、我儘な女だな……)
真美の我儘ぶりにウンザリ気味な俺は頭を掻きながら小さく溜め息を吐く。
「花蓮、ごめんな。呼ばれてるから行ってくるわ」
「ううん、気にしないで」
「サンキュー、それじゃ、行ってくる」
彼女の髪を撫でてから席を立つと花蓮は少し寂しげな表情を浮かべたものの、気持ちを切り替えてくれたようで笑顔で見送ってくれた。
その後、真美がシャンパンタワーを入れた事で場内は盛り上がり、金に物を言わせて周りを牽制したのも束の間、俺の常連客が来店する事までは止められず、その度に席を離れた俺を何かしらの方法で気を引いては自分の元へ呼び戻してくる。
(全く、親が金持ちのお嬢様って奴は……金の使い方、ヤバ過ぎだろーよ)
別に他の女の相手をしたい訳でも無いけど、まるで自分の所有物みたいに金で物を言わせている真美には常にウンザリ気味で閉店時間が近付くにつれて俺の疲れはピークに達していた。
「芹さん、ごめんなさい、なかなか来られなくて」
真美がさっき馬鹿にしていた女――今野 花蓮は、全くと言っていい程着飾っていないせいか華やかさは無いけれど、元が良いのか薄化粧だけどなかなかの美人だったりする。
「謝らないでよ。こうして会いに来てくれて嬉しいよ」
言いながら俺がすぐ横に腰を下ろして彼女の肩を抱くと頬を真っ赤に染め、身体を少し強ばらせているのが分かる。
「いい加減慣れようよ、ここへ来るようになって、もうすぐ半年だろ?」
「そ、それはそう……なんだけど……芹さん格好良いから、やっぱり緊張しちゃって……」
「そう言って貰えるのは嬉しいけど、もう少し慣れて欲しいなぁ」
それというのも花蓮は元から男慣れしていなくて、ここへ通うようになったのも『男慣れしたいから』という理由が始まりだった。
初来店した時に比べればかなり成長はしたものの、身体に触れられたりするのはまだ慣れないらしく、初心な反応を見せている。
(花蓮みたいな女は、相手する分には楽だよな)
真美とは違いがっついていない、化粧も薄い、派手さも無い花蓮は相手をするのに物凄く楽だった。
基本お酒を飲みながら話をする事が一番の目的らしい花蓮は、会えなかった期間に起きた出来事などを話してくれるから、俺はそれに相槌を打ちながら酒を飲む。
「失礼します、芹さん、真美さんがだいぶお怒りで……その、シャンパンタワーをするから戻って来いと……」
そんなさなか、真美がもう待てないと気を引く為かシャンパンタワーを入れるから俺に戻れと言う。
(相変わらず、我儘な女だな……)
真美の我儘ぶりにウンザリ気味な俺は頭を掻きながら小さく溜め息を吐く。
「花蓮、ごめんな。呼ばれてるから行ってくるわ」
「ううん、気にしないで」
「サンキュー、それじゃ、行ってくる」
彼女の髪を撫でてから席を立つと花蓮は少し寂しげな表情を浮かべたものの、気持ちを切り替えてくれたようで笑顔で見送ってくれた。
その後、真美がシャンパンタワーを入れた事で場内は盛り上がり、金に物を言わせて周りを牽制したのも束の間、俺の常連客が来店する事までは止められず、その度に席を離れた俺を何かしらの方法で気を引いては自分の元へ呼び戻してくる。
(全く、親が金持ちのお嬢様って奴は……金の使い方、ヤバ過ぎだろーよ)
別に他の女の相手をしたい訳でも無いけど、まるで自分の所有物みたいに金で物を言わせている真美には常にウンザリ気味で閉店時間が近付くにつれて俺の疲れはピークに達していた。