お前の全てを奪いたい【完】
「花蓮? 常連客の今野 花蓮か?」
「……恐らく、そうだと思う」
「そうか、分かった」
「――礼さん」
「どうした?」
「……真美の事も、そうなんだけど……花蓮の事も、あまり大事にはしないでやって欲しい」
「何言ってんだよ? お前、死にかけたんだぞ?」
「……確かに、そうだけど……でも俺は生きてる。それにさ、こうなったそもそもの原因は、俺にあるんだ。自業自得なんだよ」
「お前はホストだ。女に楽しい時間を提供するのが仕事だろ? 別にお前は間違ってねぇ」
「……だとしても、それ以上の事をしてたのは事実だ。その気にさせてたのも。利用するだけ利用して、本命が出来たから、切り捨てた。向こうからしたら、いくら俺がホストだと分かってても、面白くねぇよ。だから頼むよ……」
こんな事で許されるとは思ってないし、こんな甘い事言ってると、またいつか同じ結末を迎えるかもしれない。
だけどそれでも、俺は彼女たちの様々な想いを、受け止めなきゃいけない気がする。
すると、俺と礼さんのやり取りを聞いていた環奈が、
「礼さん、私からもお願いします。どうか、万里さんの言う通り、大事にはしないであげてください」
そう言いながら礼さんに頭を下げた。
「おいおい、環奈まで何言ってんだ? 野放しにしておいたら今度はお前まで刺されるかもしれねぇんだぞ?」
それには驚いたのか、明石さんまでもが話に加わってくる。
「……これはあくまでも勘ですけど、真美さんも花蓮さんも、きっと、後悔してると思うんです。万里さんの事が好きだからこそ、こんな事をしてしまって、一番傷ついていると思うんです。だから、きちんと話をすれば、分かってもらえると思うんです……」
まるで俺の気持ちをそのまま代弁してくれているかのように、俺が思っていた事を礼さんたちに伝えてくれる環奈。
そんな彼女の熱意に負けた礼さんは、
「……分かったよ。ひとまずこっちで今野 花蓮と接触をして話をする機会を作る。それでいいか?」
半ば呆れながらも俺と環奈に確認を取ってくれる。
「ありがとう、礼さん」
「ありがとうございます、礼さん。良かったですね、万里さん」
「ああ、ありがとう、環奈」
まるで自分の事のように喜び微笑み掛けながら再び手を取ってくる環奈。
そんな彼女の手を握り返しながら俺は、環奈にだけは敵わねぇなと密かに思っていた。
「……恐らく、そうだと思う」
「そうか、分かった」
「――礼さん」
「どうした?」
「……真美の事も、そうなんだけど……花蓮の事も、あまり大事にはしないでやって欲しい」
「何言ってんだよ? お前、死にかけたんだぞ?」
「……確かに、そうだけど……でも俺は生きてる。それにさ、こうなったそもそもの原因は、俺にあるんだ。自業自得なんだよ」
「お前はホストだ。女に楽しい時間を提供するのが仕事だろ? 別にお前は間違ってねぇ」
「……だとしても、それ以上の事をしてたのは事実だ。その気にさせてたのも。利用するだけ利用して、本命が出来たから、切り捨てた。向こうからしたら、いくら俺がホストだと分かってても、面白くねぇよ。だから頼むよ……」
こんな事で許されるとは思ってないし、こんな甘い事言ってると、またいつか同じ結末を迎えるかもしれない。
だけどそれでも、俺は彼女たちの様々な想いを、受け止めなきゃいけない気がする。
すると、俺と礼さんのやり取りを聞いていた環奈が、
「礼さん、私からもお願いします。どうか、万里さんの言う通り、大事にはしないであげてください」
そう言いながら礼さんに頭を下げた。
「おいおい、環奈まで何言ってんだ? 野放しにしておいたら今度はお前まで刺されるかもしれねぇんだぞ?」
それには驚いたのか、明石さんまでもが話に加わってくる。
「……これはあくまでも勘ですけど、真美さんも花蓮さんも、きっと、後悔してると思うんです。万里さんの事が好きだからこそ、こんな事をしてしまって、一番傷ついていると思うんです。だから、きちんと話をすれば、分かってもらえると思うんです……」
まるで俺の気持ちをそのまま代弁してくれているかのように、俺が思っていた事を礼さんたちに伝えてくれる環奈。
そんな彼女の熱意に負けた礼さんは、
「……分かったよ。ひとまずこっちで今野 花蓮と接触をして話をする機会を作る。それでいいか?」
半ば呆れながらも俺と環奈に確認を取ってくれる。
「ありがとう、礼さん」
「ありがとうございます、礼さん。良かったですね、万里さん」
「ああ、ありがとう、環奈」
まるで自分の事のように喜び微笑み掛けながら再び手を取ってくる環奈。
そんな彼女の手を握り返しながら俺は、環奈にだけは敵わねぇなと密かに思っていた。