お前の全てを奪いたい【完】
候補としてはいくつもあるが、双子という事もあって、音や漢字が同じ名前にするか、それとも男女別に俺と環奈の名前から一部分を取って付けるか、それすらも決まらない。
「やっぱり、音や漢字が同じ名前の方がいいですかね?」
「そうだな……」
そう話しながら音や漢字が同じ名前をいくつも書いてあるページを開き、改めて候補に挙がっている名前を見直してみる。
例えば、
《 瀬奈、恵奈/理玖、理菜/伊月、美月 》のような同じ漢字を使うもの。
《 敬、芽衣/蓮、凜/渚、有紗 》
のような響きが似ているもの。
というような候補がいくつも書いてある。
けれど何故か、しっくり来る名前がなくて、決めかねている。
「やっぱり候補があり過ぎて決まらないですね」
「そうだな」
周りに聞いてみると、案外直感で決めたとか流行りから拝借したとか好きな文字を入れたとか理由は様々で、それが逆に俺らを悩ませた。
しかし、直感でと言われても、そうそう名前なんて思いつきもしない。
「そう言えば、万里さんがホストだった時に使っていた源氏名って、どなたが決めたんですか?」
「ん? ああ、俺が自分で決めた」
「どうして『芹』って付けたんです?」
「俺の本名が《葉瀬 万里》だろ? 葉瀬の《せ》と、万里の《り》を取って《せり》って付けただけ。漢字は適当」
「そうだったんですね」
「そういう環奈は――ああ、環奈の《ん》を抜いて《カナ》か」
「そうです。あまりにも本名と違う名前だと、呼ばれても忘れて反応出来ないかもと思って、簡単に一文字抜きました」
「うーん、俺ら、そもそもネーミングセンスがねぇのかもしれないな」
「確かに……」
結局、この日も候補から絞り込む事すら出来ないまま、環奈が眠そうだった事もあって話し合いはまたの機会にした。
深夜、ふと目を覚ますと、環奈が窓辺に腰掛けて星空を眺めていた。
「環奈?」
「あ、万里さん」
「どうした?」
「喉が渇いて目が覚めたら、何だか目が冴えちゃって……」
「きちんと寝ないと身体に障るぞ?」
「……はい、でも……」
「せめて布団に入ってないと、冷えるぞ? 環奈、おいで」
「……万里さん、はい!」
布団に入ったまま上半身を起こした俺は手招きして環奈を呼び寄せると、環奈は嬉しそうに微笑みながら俺の隣へやって来た。
ヘッドボードを背もたれにして寄りかかった俺は環奈の肩を抱き寄せ、ふいにこちらへ顔を向けた環奈の顎を掬うと、彼女の唇を自身の唇で塞いだ。
「……んっ、」
キスなんてもう何百回したかも分からないのに、環奈の唇に口付ける度、初めてみたいに愛おしく、嬉しさが込み上げてくる。
結婚もして、もう少しで子供も生まれるというのに、環奈への愛は溢れるばかり。
「……ッん、……ぁ、はぁ……っ」
初めは啄むようなキスだったけど、一度してしまうとなかなか止められない。
無理はさせたくねぇから激しくはしないと決めてるけど、
「……ばんり、さん……、もっと……して?」
最近の環奈は少し積極的なところもあって、物足りない時はこうしてお願いしてくる。
こんな風に頼まれたら、しない訳にはいかねぇから、
「――ッ」
啄むキスから一転、舌を割入れ、互いの舌を絡ませる。
激しさを増し、厭らしい音が聞こえてくる度、俺の理性を掻き立てていく。
「やっぱり、音や漢字が同じ名前の方がいいですかね?」
「そうだな……」
そう話しながら音や漢字が同じ名前をいくつも書いてあるページを開き、改めて候補に挙がっている名前を見直してみる。
例えば、
《 瀬奈、恵奈/理玖、理菜/伊月、美月 》のような同じ漢字を使うもの。
《 敬、芽衣/蓮、凜/渚、有紗 》
のような響きが似ているもの。
というような候補がいくつも書いてある。
けれど何故か、しっくり来る名前がなくて、決めかねている。
「やっぱり候補があり過ぎて決まらないですね」
「そうだな」
周りに聞いてみると、案外直感で決めたとか流行りから拝借したとか好きな文字を入れたとか理由は様々で、それが逆に俺らを悩ませた。
しかし、直感でと言われても、そうそう名前なんて思いつきもしない。
「そう言えば、万里さんがホストだった時に使っていた源氏名って、どなたが決めたんですか?」
「ん? ああ、俺が自分で決めた」
「どうして『芹』って付けたんです?」
「俺の本名が《葉瀬 万里》だろ? 葉瀬の《せ》と、万里の《り》を取って《せり》って付けただけ。漢字は適当」
「そうだったんですね」
「そういう環奈は――ああ、環奈の《ん》を抜いて《カナ》か」
「そうです。あまりにも本名と違う名前だと、呼ばれても忘れて反応出来ないかもと思って、簡単に一文字抜きました」
「うーん、俺ら、そもそもネーミングセンスがねぇのかもしれないな」
「確かに……」
結局、この日も候補から絞り込む事すら出来ないまま、環奈が眠そうだった事もあって話し合いはまたの機会にした。
深夜、ふと目を覚ますと、環奈が窓辺に腰掛けて星空を眺めていた。
「環奈?」
「あ、万里さん」
「どうした?」
「喉が渇いて目が覚めたら、何だか目が冴えちゃって……」
「きちんと寝ないと身体に障るぞ?」
「……はい、でも……」
「せめて布団に入ってないと、冷えるぞ? 環奈、おいで」
「……万里さん、はい!」
布団に入ったまま上半身を起こした俺は手招きして環奈を呼び寄せると、環奈は嬉しそうに微笑みながら俺の隣へやって来た。
ヘッドボードを背もたれにして寄りかかった俺は環奈の肩を抱き寄せ、ふいにこちらへ顔を向けた環奈の顎を掬うと、彼女の唇を自身の唇で塞いだ。
「……んっ、」
キスなんてもう何百回したかも分からないのに、環奈の唇に口付ける度、初めてみたいに愛おしく、嬉しさが込み上げてくる。
結婚もして、もう少しで子供も生まれるというのに、環奈への愛は溢れるばかり。
「……ッん、……ぁ、はぁ……っ」
初めは啄むようなキスだったけど、一度してしまうとなかなか止められない。
無理はさせたくねぇから激しくはしないと決めてるけど、
「……ばんり、さん……、もっと……して?」
最近の環奈は少し積極的なところもあって、物足りない時はこうしてお願いしてくる。
こんな風に頼まれたら、しない訳にはいかねぇから、
「――ッ」
啄むキスから一転、舌を割入れ、互いの舌を絡ませる。
激しさを増し、厭らしい音が聞こえてくる度、俺の理性を掻き立てていく。