お前の全てを奪いたい【完】
俺たちがやって来たのは隣の県にある子供向けの乗り物が比較的多いテーマパーク。
「わー! ゆうえんち!」
「せいな、おうまさんのりたい!」
着くや否や、海里と星奈のテンションはかなり上がっていて、
「あ、こら海里、星奈! 走っちゃ駄目だよ!」
車から降ろすとすぐに走り出そうとして環奈に止められていた。
「ほら、きちんと言うこと聞けないなら帰るぞ? 車が沢山あるところで走ったりしたら駄目だって、いつも言ってるだろ?」
「そうよ。車が沢山のところでは二人で手を繋いで、ママやパパから離れちゃ駄目。守れる?」
俺や環奈が駐車場での行動の仕方を今一度教えていると、
「うん、まもれる」
「ちゃんと、て、つなぐ」
頷いた二人はきちんと手を繋いで見せた。
「偉いぞ、二人とも」
「うん、偉いね」
「よし、それじゃあ中入るか」
きちんと守れた二人を褒め、俺たちはチケットを購入して園内へと入った。
「まずはどれから乗ろうか」
園内の案内板を見ながら、俺たちはどのアトラクションから乗るかを話し合う。
しかし、ここが一番の問題だった。
「せいな、おうまさん!」
「えー、やだ。おれ、ちがうのがいい」
早速二人の意見が割たのだ。
「おれ、あれがいい!」
言って海里が指差したのはジェットコースター。これは子供向けだから二人も乗れるけど、星奈はああいうスピードが速いものは得意じゃねぇから嫌がるのが分かっていた。
「せいな、あれやだ。はやいの、こわいもん」
「けっ! よわむしだなぁ、せいなは」
「ちがうもん!」
「あんなの、こわくねーよ」
そして、再び言い合いが始まっていく。
初めくらいは家族みんなで同じ物をと思っていたが、やはり無理があるようだ。
「万里さん、仕方ないから別々のアトラクションを乗りましょうか」
「……そうだな。それじゃあ俺と海里がコースターで環奈と星奈がメリーゴーランドって事でいいか?」
「はい」
まあ意見が割れたら俺たちが別々に連れて行けば済む話ではあるが、俺としては、環奈や星奈と離れるのは些か心配だった。
(まあここは子供向けでほぼ家族連れしかいねぇから、危険な事はねぇ……けどな)
「それじゃあ俺と海里はコースター行くぞ」
「星奈はママとお馬さん行こうね」
「わーい!」
「うん!」
二人は自分が乗りたいものに乗れると分かるとすぐに言い合いを止めた。
「万里さん、また後で」
「ああ、くれぐれも気を付けろよ? 人気のねぇとこには絶対近付くんじゃねぇぞ? それと、何かあったらすぐに連絡しろよ?」
「ふふ、分かってますよ。それじゃあ、また」
相変わらず心配性の俺に、クスリと笑みを浮かべた環奈は星奈を連れてメリーゴーランドがある方へ向かって行った。
「わー! ゆうえんち!」
「せいな、おうまさんのりたい!」
着くや否や、海里と星奈のテンションはかなり上がっていて、
「あ、こら海里、星奈! 走っちゃ駄目だよ!」
車から降ろすとすぐに走り出そうとして環奈に止められていた。
「ほら、きちんと言うこと聞けないなら帰るぞ? 車が沢山あるところで走ったりしたら駄目だって、いつも言ってるだろ?」
「そうよ。車が沢山のところでは二人で手を繋いで、ママやパパから離れちゃ駄目。守れる?」
俺や環奈が駐車場での行動の仕方を今一度教えていると、
「うん、まもれる」
「ちゃんと、て、つなぐ」
頷いた二人はきちんと手を繋いで見せた。
「偉いぞ、二人とも」
「うん、偉いね」
「よし、それじゃあ中入るか」
きちんと守れた二人を褒め、俺たちはチケットを購入して園内へと入った。
「まずはどれから乗ろうか」
園内の案内板を見ながら、俺たちはどのアトラクションから乗るかを話し合う。
しかし、ここが一番の問題だった。
「せいな、おうまさん!」
「えー、やだ。おれ、ちがうのがいい」
早速二人の意見が割たのだ。
「おれ、あれがいい!」
言って海里が指差したのはジェットコースター。これは子供向けだから二人も乗れるけど、星奈はああいうスピードが速いものは得意じゃねぇから嫌がるのが分かっていた。
「せいな、あれやだ。はやいの、こわいもん」
「けっ! よわむしだなぁ、せいなは」
「ちがうもん!」
「あんなの、こわくねーよ」
そして、再び言い合いが始まっていく。
初めくらいは家族みんなで同じ物をと思っていたが、やはり無理があるようだ。
「万里さん、仕方ないから別々のアトラクションを乗りましょうか」
「……そうだな。それじゃあ俺と海里がコースターで環奈と星奈がメリーゴーランドって事でいいか?」
「はい」
まあ意見が割れたら俺たちが別々に連れて行けば済む話ではあるが、俺としては、環奈や星奈と離れるのは些か心配だった。
(まあここは子供向けでほぼ家族連れしかいねぇから、危険な事はねぇ……けどな)
「それじゃあ俺と海里はコースター行くぞ」
「星奈はママとお馬さん行こうね」
「わーい!」
「うん!」
二人は自分が乗りたいものに乗れると分かるとすぐに言い合いを止めた。
「万里さん、また後で」
「ああ、くれぐれも気を付けろよ? 人気のねぇとこには絶対近付くんじゃねぇぞ? それと、何かあったらすぐに連絡しろよ?」
「ふふ、分かってますよ。それじゃあ、また」
相変わらず心配性の俺に、クスリと笑みを浮かべた環奈は星奈を連れてメリーゴーランドがある方へ向かって行った。