お前の全てを奪いたい【完】
環奈たちと別れてコースター乗り場へやって来た俺と海里。
園内人気のアトラクションとあって、それなりに並んでいる。
興奮気味の海里と共に列へ並んだ俺は、メリーゴーランドへ向かった環奈へメッセージを送る。
《無事着いたか?》
《はい、着きました。もうすぐ乗れますよ》
《そうか。こっちは少し時間が掛かりそうだ》
《人気のアトラクションですものね。了解です》
何度かメッセージを送り合っていると、乗る順番が回って来たのか途中で途切れた。
それから暫くすると、環奈と共に馬車に乗っている星奈の写真画像が送られて来る。
(環奈も星奈も、可愛いな)
なんて、思わず表情筋が緩むのを感じていると、
「パパ、うれしいことあったの?」
その言葉と共に不思議そうな顔をした海里が問い掛けてきた。
「ん? ああ、ほら、ママと星奈の写真だよ」
「ほんとだ! もうのれたんだ!いーなぁ、おれもはやくのりたい!」
「もうすぐだぞ」
「うん」
二人の画像を見せると既に楽しんでいる事を羨ましく思っている海里を宥めつつ、《俺ら、まだ少し掛かるからもう一度乗るか、他のアトラクションに行っててもいいぞ》というメッセージを送り、それから数分後にようやく順番が回って来た。
「たのしかった! またのりたい!」
「そうだな、けど、とりあえずママと星奈の所に行こう。皆んなで乗れる乗り物も楽しいぞ?」
「うーん、わかった……」
もう一度乗りたいと言う海里だが、先程よりも列が出来ている事や環奈たちと早く合流したかった俺はやんわりと言い聞かせて納得させると、環奈に電話を掛けた。
けれど、
「出ねぇな……」
何度かコールしているものの、電話に出ない。
あの後メッセージには、《星奈がコーヒーカップに乗りたいと言うので、そちらに行っていますね》という内容が送られていた事もあり、もしかしたら今まさに乗っている最中なのかもしれないと少し時間を置いてから掛けてみるも、
「やっぱり、出ねぇ……」
「パパ、どーしたの? ママとせいなは?」
「それが、電話に出ねぇんだよ」
「え?」
先程と変わらずやはり電話に出ない環奈。海里も俺の焦りを感じ取ったのか不安そうな表情を向けて来る。
「とにかく、コーヒーカップの方に行ってみよう」
とりあえず環奈たちが向かったはずのコーヒーカップがある場所へ向かおうと歩き出した、その時、
「もしもし!?」
環奈から着信があったので間髪入れずに電話に出ると、
「――っ」
「環奈?」
「……万里さん……どうしよう……」
電話口の環奈は今にも泣き出しそうな声で『どうしよう』と口にする。
「環奈、どうした? 何があったんだ?」
嫌な予感が頭を過ぎった、次の瞬間、
「……星奈が、居なくなってしまったんです……」
震える声で、環奈がそう言葉を発した。
園内人気のアトラクションとあって、それなりに並んでいる。
興奮気味の海里と共に列へ並んだ俺は、メリーゴーランドへ向かった環奈へメッセージを送る。
《無事着いたか?》
《はい、着きました。もうすぐ乗れますよ》
《そうか。こっちは少し時間が掛かりそうだ》
《人気のアトラクションですものね。了解です》
何度かメッセージを送り合っていると、乗る順番が回って来たのか途中で途切れた。
それから暫くすると、環奈と共に馬車に乗っている星奈の写真画像が送られて来る。
(環奈も星奈も、可愛いな)
なんて、思わず表情筋が緩むのを感じていると、
「パパ、うれしいことあったの?」
その言葉と共に不思議そうな顔をした海里が問い掛けてきた。
「ん? ああ、ほら、ママと星奈の写真だよ」
「ほんとだ! もうのれたんだ!いーなぁ、おれもはやくのりたい!」
「もうすぐだぞ」
「うん」
二人の画像を見せると既に楽しんでいる事を羨ましく思っている海里を宥めつつ、《俺ら、まだ少し掛かるからもう一度乗るか、他のアトラクションに行っててもいいぞ》というメッセージを送り、それから数分後にようやく順番が回って来た。
「たのしかった! またのりたい!」
「そうだな、けど、とりあえずママと星奈の所に行こう。皆んなで乗れる乗り物も楽しいぞ?」
「うーん、わかった……」
もう一度乗りたいと言う海里だが、先程よりも列が出来ている事や環奈たちと早く合流したかった俺はやんわりと言い聞かせて納得させると、環奈に電話を掛けた。
けれど、
「出ねぇな……」
何度かコールしているものの、電話に出ない。
あの後メッセージには、《星奈がコーヒーカップに乗りたいと言うので、そちらに行っていますね》という内容が送られていた事もあり、もしかしたら今まさに乗っている最中なのかもしれないと少し時間を置いてから掛けてみるも、
「やっぱり、出ねぇ……」
「パパ、どーしたの? ママとせいなは?」
「それが、電話に出ねぇんだよ」
「え?」
先程と変わらずやはり電話に出ない環奈。海里も俺の焦りを感じ取ったのか不安そうな表情を向けて来る。
「とにかく、コーヒーカップの方に行ってみよう」
とりあえず環奈たちが向かったはずのコーヒーカップがある場所へ向かおうと歩き出した、その時、
「もしもし!?」
環奈から着信があったので間髪入れずに電話に出ると、
「――っ」
「環奈?」
「……万里さん……どうしよう……」
電話口の環奈は今にも泣き出しそうな声で『どうしよう』と口にする。
「環奈、どうした? 何があったんだ?」
嫌な予感が頭を過ぎった、次の瞬間、
「……星奈が、居なくなってしまったんです……」
震える声で、環奈がそう言葉を発した。