お前の全てを奪いたい【完】
「きゃ~! 芹さん、礼さん久しぶり~!」
【HEAVEN】に着くと、残っているキャストたちが一斉に俺らを出迎える。
席に着いてすぐ、俺の両隣には固定と言ってもいいくらい馴染みのキャストが当たり前のように席を陣取った。
左には明るめのブラウン色でボブスタイルでナチュラルメイクのツグミ、右には黒髪ショートヘアでバッチリメイクを施しているラン。
二人とも【HEAVEN】では結構上位を張ってる稼ぎ頭で、仲が良いんだか悪いんだか、いつも様々な事を競っている。
そんな彼女たちの他に見慣れないキャストが一人、俺の目の前の席に腰を下ろした。
「……ん? 見ない顔だな」
「は、初めまして! カナです! よ、よろしくお願いします!!」
『カナ』と言った彼女は、胸の辺りまであるウェーブがかった黒髪ロングヘアで、メイクはし慣れていないのか、まるで子供が大人に憧れてメイクをしているような、どこか浮いている感じがする。
真面目そうというか地味で儚げ、おまけに幸も薄そうで、何でキャバ嬢になったんだか分からない程に男慣れしていない雰囲気が漂っていた。
「カナか。俺は芹だ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします、芹さん!」
そんな彼女とただ挨拶を交わした、それだけなのに、カナがぎこちなくも笑みを浮かべた瞬間、俺は心臓は鷲掴みされたような何とも言い難い不思議な感覚に陥った。
(何だ、これ……胸が、ザワつく……うぜぇ……)
まるでカナの笑顔には不思議な力でもあるのか、異性相手にこんなにも狼狽えるのは初めてに近い事で、驚きを隠せない。
【HEAVEN】のオーナーの明石 光成さんの話によると、カナは入店してまだ一週間の新人らしい。
ツグミやランが礼さんの席に着いた際、カナと二人きりになった俺は彼女に接客をやらせてみたものの、鈍臭いというかなんと言うか失敗の連続で、こんな様子で仕事が務まるのか心配になる程不器用な上に、お酒もあまり強く無いようで少し飲んだらすぐに顔を赤くしていた。
(ホント、何でコイツ、キャバ嬢選んだんだ?)
そして気付けば、明らかに不釣り合いな職業を選んだカナを前に、他人でましてや異性に興味を持たないはずの俺はついつい興味津々になっていた。
【HEAVEN】に着くと、残っているキャストたちが一斉に俺らを出迎える。
席に着いてすぐ、俺の両隣には固定と言ってもいいくらい馴染みのキャストが当たり前のように席を陣取った。
左には明るめのブラウン色でボブスタイルでナチュラルメイクのツグミ、右には黒髪ショートヘアでバッチリメイクを施しているラン。
二人とも【HEAVEN】では結構上位を張ってる稼ぎ頭で、仲が良いんだか悪いんだか、いつも様々な事を競っている。
そんな彼女たちの他に見慣れないキャストが一人、俺の目の前の席に腰を下ろした。
「……ん? 見ない顔だな」
「は、初めまして! カナです! よ、よろしくお願いします!!」
『カナ』と言った彼女は、胸の辺りまであるウェーブがかった黒髪ロングヘアで、メイクはし慣れていないのか、まるで子供が大人に憧れてメイクをしているような、どこか浮いている感じがする。
真面目そうというか地味で儚げ、おまけに幸も薄そうで、何でキャバ嬢になったんだか分からない程に男慣れしていない雰囲気が漂っていた。
「カナか。俺は芹だ。よろしく」
「はい、よろしくお願いします、芹さん!」
そんな彼女とただ挨拶を交わした、それだけなのに、カナがぎこちなくも笑みを浮かべた瞬間、俺は心臓は鷲掴みされたような何とも言い難い不思議な感覚に陥った。
(何だ、これ……胸が、ザワつく……うぜぇ……)
まるでカナの笑顔には不思議な力でもあるのか、異性相手にこんなにも狼狽えるのは初めてに近い事で、驚きを隠せない。
【HEAVEN】のオーナーの明石 光成さんの話によると、カナは入店してまだ一週間の新人らしい。
ツグミやランが礼さんの席に着いた際、カナと二人きりになった俺は彼女に接客をやらせてみたものの、鈍臭いというかなんと言うか失敗の連続で、こんな様子で仕事が務まるのか心配になる程不器用な上に、お酒もあまり強く無いようで少し飲んだらすぐに顔を赤くしていた。
(ホント、何でコイツ、キャバ嬢選んだんだ?)
そして気付けば、明らかに不釣り合いな職業を選んだカナを前に、他人でましてや異性に興味を持たないはずの俺はついつい興味津々になっていた。