初恋が叶わなった日
第一章 恋をした2人
episode:恋を知った日。(咲良)
高校2年生の春。
鈴森咲良は、人生初の恋をした。
相手は同じクラスの男の子。
あの日、その男の子に一目惚れをした。
なぜなら、男の子という存在が苦手だった。
幼い時から人と話すのが苦手だから友達もいなかった。
唯一の友達はピアノと本だった。
学校では、昼休みになると図書室で小説を読んだり、勉強をしたりだった。私の人生に恋愛という言葉自体はなかった。
人生で初めて男の子に恋をしたんだ。
高校の入学式の日。
『咲良、起きなさい。今日は入学式でしょ。遅刻するよ。』
私のお母さんは、学校の先生。
なんと、私が通っている高校の先生だった。
入学式の前日、私は行きたくないと母に伝えたはずだったのに。
『お母さん、昨日も言ったけど入学式は絶対に行かない。本当に行きたくない。学校なんてきらいだもん。だから、まだ寝ときたい。』と私はお母さんに言った。
だけど、そんなことなんて聞いてくれない。
お母さんは学校の姿の私を知らない。
それに、クラスの生徒にいじめを受けていることなんて絶対に知られたくなかった。
『どうして。せっかくの入学式じゃない?小学校の時に友達だった朱音ちゃんだっているじゃない?』
西森朱音。
朱音は小学校の時から一緒だった。
家も近くで、いつも一緒だった。
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