初恋が叶わなった日
優希。
小学校の時、初めて恋をした初恋の男の子と同じ名前だった。
だから、一瞬時が止まったかのようにびっくりした。
まさかね。名前は覚えてるけど、苗字が覚えていなかった。
だけど、優希くんは親の都合で転校したからここにいるはずがないよね。
『佐倉くん、よろしくです。』
『てか、同い年なんだしさぁ敬語じゃなくっていいよ。しかも同じ学校だし。』
『だよね。』
何を話したらいいんだろう。
男の子がいる時はいつも朱音がいるから。
朱音が話してくれてた。
だからなのか、何をどう話したらいいのか分からない。
『咲良ちゃんはいつもこの電車に乗るの?てか電車で通ってる?』
『うん。いつも学校までは電車だよ。』
『そっか。俺はいつも自転車なんだけど。今日はパンクしちゃってさぁ。歩いていくと時間かかるから電車で行こうかなって。』
『そうなんだ。私はいつも電車でもう1人友達がいるんだけど、今日は寝坊して一緒に乗れなかった。』
『そっか。じゃあ、一緒に学校に行こうぜ。俺も1人は暇だしさぁ。学校の正門まででいいから、一緒に行こうぜ。』
初めてだった。
男の子に一緒に行こうと誘われたのは。
こういう時朱音ならどうするんだろう。
きっと朱音なら行くって言うだろうな。香織なら私の好きな通りにしたらいいって言うのかな。
でも、学校の正門までだし、いいかな。
『学校の正門までなら、いいよ。』
『ありがとう。そろそろ電車くるね。』
『来るね。』
それから、私達は電車が来て乗った。