Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
ネットで調べてみると、結婚したもののほとんど夜の営みがないことで悩んでいる妻は結構多い。世の中には性欲が全くない、もしくはほとんどない男性、というのが実際存在するらしい。
妻への愛情が冷めたとか嫌いになったとか、そういうことじゃなくて。
ただ単に、そういうことに興味が持てないっていう。
うん、もしかしたら、クロードさんもそのクチなのかもしれない。
結婚前の女性関係が奔放に見えたのは、私の先入観だったんじゃないかな。
正直言えば、だったら最初に言ってよ、とは思う。
でも彼も悩んでいたのかもしれない、こんなこと言って引かれたりしないだろうか、とか。男性としてのプライドもあるだろうし。
加えて、初夜も含めて結婚当初に出張が重なって留守がちだったから、それを告白するタイミングを見失ってしまった、ってこともあるかも。
身体を重ねることだけが、愛情表現じゃない。
一番大事なのは、好きって気持ち。
課長に襲われた時、必死に駆けつけて守ってくれた。
ケガを気遣って、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
悪夢で魘されないように、一緒のベッドで寝てくれた。
その行動のすべては私への確かな愛情だって、信じていいんじゃないかな。
速水さんのことも、本当に異動させてくれたそうだし。
きっと渋谷で見かけた助手席の女性も、本当にただの友達だったのよ。
そこまでたどり着いたら、モヤモヤしてたいろんなことが全部ストンと胸に落ちてきて、すっきりした気持ちになれたんだ。