Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「ねぇねぇ、写真見せて? 式挙げない代わりに写真撮った、って言ってたよね?」
知依ちゃんにお願いされて、「うん、あるよ」とスマホから先週撮ったばかりの画像を選び出した。
アルバムになって手元に届くのはもう少し先になるけど、スタッフさんにお願いして、自分のスマホでも何枚か撮ってもらったのだ。
そういえばクロードさんの姿を誰かに見せるのは初めてだな。
彼、写真があまり好きじゃないみたいで全然撮らせてくれないから……とか考えつつスマホを差し出すと。
2人の両目がアニメみたいにシンクロして、グワッと見開かれた。
「わ、何何このイケメン!! え、マジで!?」
「ほんとだ、超カッコいい! モデルか俳優さんみたいっ!! あ、茉莉花ちゃんも可愛いよ」
うん、ついでのフォローありがとう。知依ちゃん。
予想通りのリアクションだったから大丈夫デス。
どんな美女だって、彼と並べば霞んじゃうよ。
ほんとに素敵だったなぁ彼のタキシード姿、ってうっとり思い返す。
190近い長身にブラックで統一したファッションが映えていて、もうフェロモン駄々洩れ。カメラマンさんもヘアメイクさんも、「モデルさんですか?」って見惚れてたっけ。
そんな彼の隣に、女の子の夢が詰まったみたいなレースたっぷりのプリンセスラインドレスで立つことができて、逃げたくなるくらい緊張したけど、幸せだった。
――妖精のように美しい。触れると消えてしまいそうで怖くなるよ。
彼にも褒めてもらえたし……8割がたお世辞だとしてもね。
「え、あれ? そういや旦那さん、見た目日本人っぽい?」
「ほんとだ、確かにー」
2人の声で我に返った私は、「あ、うん。実は彼、もともと日本人なの」と説明する。
「「もともと日本人?」」
ふふ、またシンクロしてる。
ちょっとわかりにくいよね。私も初めて聞いた時はそうだった。