Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
10. 続・パーティーは危険につき

「く、クロード、さんっ!?」

予想は当たってた。

パーティー、やっぱり彼も来てたんだ――とパニック気味にジタバタ身じろぐが、固く閉じたその腕はほどけない。

バックハグ、なんてカワイイ感じじゃない。
なんか、拘束、されてない!?


「藤堂さん。ご友人がお待ちなのでは?」

狼狽える私を完全スルーして、頭上で淡々とした声が言った。

その台詞で、あっけにとられていた学くんが我に返ったように周囲へ視線を走らせ、ロビーの少し離れたところに立つ男女を認めた。

クロードさんの言う通り、知り合いだったみたい。
学会があるって言ってたし、その出席者かな。

学くんは少しだけ躊躇うように視線を泳がせた後、吐息をついた。

「……じゃあ、僕はここで。茉莉ちゃん、また連絡するよ」

「う、うんっまたね」

ぎこちない笑みを向けると、学くんも応えるように笑顔を見せ――その眼差しをチラッと後ろへ、クロードさんへ滑らせた。

「「…………」」

瞬間、2人の間にバチッと緊張が走ったような……気のせい、かな。

と考えているうちに、学くんは踵を返す。

その背中を目で追いかけながら、一向に解放してくれない腕と降り積もる重たい沈黙に困惑した。

もしかして、誤解してないよね?
私と学くんが内緒で会ってた、みたいに……

「こ、ここで学くんと会ったのは偶然なんですっ。彼は、たまたまここで学会の発表があったみたいで。私は、こっちの大広間のリーズグループのパーティーでバイトをっですね」

「バイト、ね」

また一段、声が低くなった。
えぇえ、なんか怒ってる!?
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