Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
初めて体験する官能の波に翻弄され、幸福感とか満足感とか、何も感じる暇はなかった。
すでに思考回路はまったく機能しない。
明確な意思を持ってスカートの裾をまくり、内股を這って行く手に気づいても、なすすべもなくされるがまま。
「茉莉花、君はどこもかしこも柔らかくて白い」
露わになった私の太ももを見下ろして、うっそりと笑ったその人が、内股へ唇を落とした。
「ンっ……」
きつく吸い付き、戯れに啄まれ。
跡がついただろうかとぼんやり考えていると、またもやするするとスカートと下着が取り払われてしまう。
「あぁ……綺麗だ」
どこか浮かれたような上ずった声が聞こえるや否や、足を開かされ、その間を大胆に指で探られた。
呼吸は荒れ、乱れまくり、腰が揺れて止まらない。
自分が自分でなくなってしまう。
そんな危機感すら覚えて、丸めた爪先でソファを蹴りながら、けぶる視界を巡らせる。
そうして気づく。
全裸の私とは対照的に、彼はネクタイすら乱していないって。
「っ……ね、クロードさん、脱がない、の? 私ばっか……」
羞恥心を紛らわせるように恨み言をぶつければ、くすりと妖艶な微笑がその口元に閃いた。
「俺のことまで考える余裕があるとは知らなかった。もっと攻めていいってことだな?」
「ちがっ余裕、じゃな――ひ、ぁっ……!」
私の中に埋まった指がうねるように蠢き、過ぎた快感に全身ががくがくと慄く。
「や、待っ、ダメぇっ変、変なのそれダメっ……」
「茉莉花、大丈夫。どんな君も美しい。全部見せてくれ」
巧みな愛撫に、艶めいた声に、誘われるように身体の奥の疼きがさらに大きく、強く激しくなって――
「んん―――っ!」
視界が、真白くスパークした。