Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「あるよ。キズナのみんなで撮ったヤツに写ってる。香や知依ちゃんも一緒に。クリスマス会だね、これは。先生がサンタクロースの格好してる」

そんな写真、アルバムにあったっけ――あぁそっか、この前は途中で見るのを止めたんだった。

「クロードさんはいる?」

「各務はええと……いないな。来なかったのかも。あいつ根っからの一匹狼で、そういう“みんなで~しましょう”みたいなイベント、苦手だったからさ。体育祭とか、出ればぶっちぎりで1位獲れるのに欠席したり」

「運動神経もよかったの?」
「先生からスポーツ推薦の話が出るくらいにはね」

す、スポーツ推薦……それって、かなりの才能なんじゃ……
さすがクロードさん。
考えながら、大きなスペースを占領している段ボールをよっこらしょと引っ張り出す。

え? なんだろ、これ。中は旅行カバン、ではないよね。

ずっしりと重みがある。引きずるだけで精いっぱいって感じ。
チラッと開けてみれば、どうやらノートや雑誌が入ってるみたい。
どうりで重いはずだ。

なんとなく気になってよくよく覗き込み、息を呑んだ。

「これ……っ」

「ん? どうした?」

寄って来た学くんへ、箱の蓋を開けて見せる。

ぎっしりと雑多に詰め込まれた中身は、書類やスクラップブック、雑誌の類。
それは間違いなく、お母さんとおばあちゃんが集めていた、15年前の事件の記録だった。

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