Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
最近もどこかで、その名前を聞いたような……。
あぁそうだ。シェルリーズのパーティーよね。
――ねえあなた、あそこに来てるのリーズメディカルの社長じゃない? ご挨拶した方がいいんじゃないかしら。
稲妻が走ったみたいに、ビリッと脳裏で何かが閃いた。
そうだ、リーズメディカル!
あの時どうも聞き覚えがあると思って……その後に思い出したじゃない。
お父さんとリーズグループとを微かに繋いでいるかもしれない、あの出来事。
もし、それがお父さんの事件と関わっているのだとしたら……?
クロードさんや富田は、無関係ってことにならない?
つまり富田殺害にも、クロードさんは関わってないってことで……。
ゴクッと、喉が鳴る。
私は意識的に深く呼吸しながら、おもむろに「あのね学くん」と口を開いた。
誰かに話すことで、とっちらかる思考回路を整理したかったのだ。
「そう言えば私、この前思い出したことがあって……」
「思い出したこと?」
「事件の2か月くらい前かな、リーズメディカルっていう会社の社員が2人、お父さんを訪ねて来たことがあったの」