Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「ま、あとは2人に任せるよ」
沈黙を破ったのは、学くんだ。
「しっかり2人で話し合って。茉莉ちゃん、さっき言ったことは本気だよ。ゆっくりでいいから、ちゃんと考えてね?」
さっき言ったこと……?
――僕じゃダメかな。
――再会して、この気持ちが恋愛感情だって、自覚した。
私がその台詞を思い出してドキッとするのと、学くんが再び口を開くのは同時だった。
「あ、各務、今気になっただろう? 僕が何を茉莉ちゃんに言ったのかってさ。隠し事は性に合わないから、教えてやるよ。僕はね、お前の奥さんに、離婚して僕と再婚してくれませんか、って言ったんだよ」
「なっ……!?」
言ってない!
そんなこと言われてない!!
何言ってるの!?
パニック気味にアワアワする私に学くんはウィンクを寄越し、そのまま再び車へ。
軽快な音とともに車が消えてしまっても、私はなかなか隣を見ることができなかった。
あぁもう……いろんなことがありすぎて、頭が痛い。
布団かぶって寝ちゃいたい。
「……帰るぞ」
低い声が言い、有無を言わさず手を掴まれても、抵抗するだけの気力はもう残っていなかった。