Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「も、もしかして、友達だったから庇ってるんですか?」

「そういうわけじゃない。ただ、真実を話しているだけだ」

富田以外に真犯人がいる。
私も考えたことだったとはいえ、あまりの断定的な口ぶりに反発心が沸いた。

「そこまではっきりおっしゃるなら、クロードさんは何か証拠なり新事実なり、ご存知なんですか? 富田が犯人じゃないっていう」

大体、そんなものがあるなら、どうしてもっと早く警察に言わなかったのよ。
憤りすら感じながら、横に座るその人を睨みつける。

「…………」

彼はしばらく微動だにせず、言葉を探すように宙をじっと見つめていた。

ピリピリとした緊張感。
不用意に口を挟めない雰囲気が、そこには漂っていて。

どこか切なげにすら見える美貌の横顔を、私はジリジリしながら凝視し続けた。


「…………」

どれくらい経っただろう。

寛げた襟から覗く彼の喉ぼとけがいきなりごくりと動き、「それは」と掠れた、というよりしゃがれたような、潰れた声が漏れた。



「知ってるからだ。先生……君の父親を殺した、真犯人を」



「……え、……」




「俺だよ」




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