Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
14. 新たな事実と新たな葛藤
「…………は……?」
今、なんて?
彼は、なんて言ったの?
音量をミュートにしちゃったみたいに。
自分の呼吸以外何も聞こえない。
ドッドッドッ……
早鐘のように打ち続ける鼓動だけが、かろうじてこのやりとりを現実に繋ぎとめていて。
ソファに座ってなかったら、その場でぶっ倒れていたと思う。
「こ、こんなところで冗談とか、人が悪すぎですよクロードさん」
引きつった笑いを交えて、なんとかそれだけ喉から絞り出す。
でも彼からの返事はない。
再び沈黙してしまう。
頭の奥が、痺れたみたいに軋む。
刑事さんから富田と“カガミ”の話を聞いてから、ずっとモヤモヤしていた。
私が一番恐れていたこと、それは15年前の事件にクロードさんが関わっていたらどうしようって……
思うたびにそんなはずないって打ち消して。
だって、まさかそんな、クロードさんがお父さんを……
ぎゅ、っとソファに爪を立てながら、浅い呼吸を繰り返す。
胸が、苦しい。
嫌だ、嫌だ、そんなの絶対嫌っ……