Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
『そっか、離婚かぁ。確かに、これだけいろいろ事実が出てきたら、難しいかもだけど……残念だね』
『お似合いだったのに……』
おっとマズい、しんみりしちゃった。
私は慌てて口角を上げる。
「ええと、だからね、犯人探しと離婚の準備と、これから結構忙しくなりそうなんだよね」
『犯人探しって、無茶しないでね?』
「ありがと知依ちゃん。もちろん、何かわかったらすぐに警察に通報するよ。まぁ素人がどこまでできるかわからないしね。とにかく頑張ってみる」
私ができるのは、一歩でも半歩でも、真犯人に近づくことだけ。
真犯人が早く見つければ見つかるだけ、クロードさんは早く自由になれるんだもの。
そう。やることは山積みだ。
離婚後のことも考えなきゃだし……
住む場所はとりあえず事件が解決するまでこのマンションのお世話になるとして、問題は仕事、なのよね。
自活することや、さらに柊馬の留学費用をクロードさんに返していくことも考えると、安定した正社員の仕事がマストで必要だ。
私がその辺りを説明すると、『じゃあ』と身を乗り出したのは知依ちゃん。
『うちで働く? ちょうど今庶務で一人、ご主人の転勤で辞めることが決まってるの。茉莉花ちゃん、前の会社で総務だったんでしょう? たぶん、仕事の内容も似た感じだし、茉莉花ちゃんならできると思う』
「え、ほんとっ?」
『うんうんほんと。なんなら、面接ナシでも行けるよ。これから明良さん来るから、わたしがこっそり一言お願いして――』
「いやいやいや、そんな裏工作止めて。ちゃんと面接受けさせてください」
『あははっはいはい、了解』
『うん、知依のとこの方がいいかもね。うちでも募集あるけど、やっぱり経験者が優先だし。ハウスキーピングの仕事よりは事務系の方が茉莉花には合ってるよ』
「うん、そうだね」