Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

事件が起きる2か月くらい前だった。
我が家に訪ねてきた、リーズメディカルの社員。

お父さんが激怒していたことは、よく覚えてる。

――帰ってくれ! 金さえ積めばなんでも思い通りになると思ってるのか。冗談じゃないっ、二度と顔を見せるな!

桜木さんからお父さんの居場所を聞いたリーズメディカルの社員が、お父さんを訪ねてきた、そういう流れだとしたら?
もちろん目的は、赤ちゃんの行方探し、ってことになる。

桜木さんにお金を渡したのと同じように、お金で赤ちゃんの情報を買おうとした。
だからお父さんはあんなに怒っていた……うん、辻褄は合ってる。

密かに頷いた私だったけど、「いいえ、違うわ」と返ってきて、がっかりしてしまった。

「リーズメディカルじゃないんですか?」
違うの? いい線いってると思ったのに……。

「惜しい、というのかしら。系列は一緒だから。リーズニッポンという商社よ。知ってる?」

「リーズ、ニッポン……」

大きく目を見開く。
あぁほらまた、リーズグループ。

だからお母さんも確信したんだ、リーズグループが関わってるって。
それであのノートを……


「そうだ、写真があるのよ。赤ちゃん探しの依頼を受けた時に渡されて、そのまま返しそびれていて……ちょっと待ってね」

バタバタとリビングを出ていく後ろ姿をぼんやりと目で追いかける。

頭の中が、もうめちゃくちゃだ。

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