Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
信じられない。
お父さんの、昔の彼女と、赤ちゃん?
まさかそんな話になるなんて……
どうしてお父さんは、赤ちゃんを自分で育てなかったんだろう。
一人で育てる自信がなかった?
その子は、今どこに……?
そして、一体どうして、リーズグループはその子を探そうとしていたの……?
「お待たせ。これよ、この人。ね、綺麗な人でしょう?」
手渡された写真には、1人の女性が写っていた。
隠し撮りだろうか。
公園っぽい屋外で、女性が誰かに向かって微笑みかけている。
確かに、モデルか女優か、ってくらい美しい人だ。
腰まで届くストレートの黒髪、透けるように白い肌、ミステリアスな切れ長の瞳――大輪の薔薇、というよりは、楚々と咲く水仙のような、知性と気品を感じさせる美人。
けれど、私が言葉を失ったのは、その美しさのせいじゃなかった。
その少し照れたような柔らかな笑顔に、知性を感じさせる涼やかな目元に、なんとなく見覚えがあったからだ。
似てる……。
私がよく知っている、あの人に。
クロードさんに。