Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

え……?

「火事から助けてくれた、って、学くん? クロードさんに似てる、かなぁ」

そりゃ2人とも180センチ越えの美形だよ?
とは言っても、タイプも雰囲気も全然違うような……

考え込む私の前で、おばあちゃんも同じような顔をする。

「まなぶ……そんな名前だった?」
「ほら、おばあちゃんが入院した初日に、私をここまで送ってくれた人いたでしょう。彼が藤堂学。火事から助けてくれた人だよ」

私が言うと、今度こそはっきり、おばあちゃんは怪訝な表情を露わにした。

「あら、あの人じゃないよ」

「え……? ちょ、何言ってるの?」

「思い出した、藤堂さんって、消防に電話してくれたコでしょう。まーちゃんを助けてくれたのは、別のコだよ。助ける時に梯子から落ちて、足の骨を折っちゃってね。まーちゃんと同じ病院に入院してて、晴美と一緒に菓子折り持ってお見舞いに行ったんだから間違いないよ」


……え? 

え?

え、何、どういうこと?
入院? 骨折? 別のコ?

一気にいろんな情報が押し寄せてきて、パニックになる。
頭の中は真っ白だ。

ええと、ええと……

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