Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
あぁやっぱり……クロードさんだったんだ。
傍にいて、頭を撫でてくれて。
私を暗闇から救ってくれた――私の王子様。
「っ……く」
頬を転がり落ちる涙を、止めることなんてできなかった。
後から後から、こみ上げてくる。
知らなくてごめんなさい。
覚えてなくて、ごめんなさい。
そして、ありがとう。
救ってくれて、ありがとう。
脳裏に浮かぶのは、眦を緩めて私を優しく見つめる、クロードさんの顔。
きっとお礼を言っても、“当然のことをしただけだ”ってクールに言うんだろうな。そんな顔もきっとカッコいいに違いない。
あぁダメだ。
気持ちが止められない。
やっぱり彼が好き。
好きで好きで、どうしようもない。
千々に乱れ、荒ぶる感情に、胸が痛いくらい軋む。
今目の前にいるのが彼だったら、人目もはばからず抱きついて、好きだって叫んでたと思う。
どうして……どうして、私たちは兄妹なんだろう。
よりによって永遠に結ばれることのない、こんな関係。
知らない方がよかった。
知らなければ、想い続けることくらいは許されたかもしれないのに――
「大丈夫? 茉莉ちゃん」