Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

あぁやっぱり……クロードさんだったんだ。

傍にいて、頭を撫でてくれて。
私を暗闇から救ってくれた――私の王子様。

「っ……く」

頬を転がり落ちる涙を、止めることなんてできなかった。

後から後から、こみ上げてくる。

知らなくてごめんなさい。
覚えてなくて、ごめんなさい。
そして、ありがとう。
救ってくれて、ありがとう。

脳裏に浮かぶのは、眦を緩めて私を優しく見つめる、クロードさんの顔。

きっとお礼を言っても、“当然のことをしただけだ”ってクールに言うんだろうな。そんな顔もきっとカッコいいに違いない。

あぁダメだ。
気持ちが止められない。

やっぱり彼が好き。
好きで好きで、どうしようもない。

千々に乱れ、荒ぶる感情に、胸が痛いくらい軋む。

今目の前にいるのが彼だったら、人目もはばからず抱きついて、好きだって叫んでたと思う。

どうして……どうして、私たちは兄妹なんだろう。

よりによって永遠に結ばれることのない、こんな関係。
知らない方がよかった。
知らなければ、想い続けることくらいは許されたかもしれないのに――


「大丈夫? 茉莉ちゃん」

< 257 / 402 >

この作品をシェア

pagetop