Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

あの外見だし、初対面で女性とのトラブルの現場に出くわしたこともあり、彼のことは経験豊富そうだなと感じてた。

だからプロポーズされた時は、きっとすぐそういうこと(・・・・・・)になるのかなって。
言葉を選ばずに言えば、ドキドキしつつ期待もしてた。
24歳にしてようやく、私も大人の階段を上るのかぁ、って。

なのに、一向に関係は進まない。

モヤモヤはあったけど、その頃はまだ、カラダ目当てじゃないってことを証明しようとしてくれてるんだなって解釈して納得してた。

そして、アメリカ在住のご両親への挨拶(オンラインだが)が終わり入籍を済ませ、彼所有のマンションへ私が引っ越す形であっという間に同居が開始。

ところが同居初日、初夜と呼んでもいいんじゃないか、というその日――待てど暮らせど、彼は帰ってこなかった。

なんでも仕事のトラブルがあって会社へ泊ったとか。
そのまま海外出張へ出かけてしまった。

あれがマズかったんじゃないかなぁと、今では思う。
タイミングを完全に失ってしまった気がする。

帰国後も、仕事が忙しくて留守がちで、距離を縮めるどころじゃない。
深夜帰りになることもあって、私の睡眠を邪魔したくないからと、結局今に至るまで寝室も別。

なんと私たちの関係は、未だにキス止まりだったりする。

そのキスだって、ウェディングフォト撮影の時、カメラマンさんから「ちょっと固くなってますね、キスとかしちゃいます?」って言われて、事故みたいに唇がちょっと触れただけ。

最近なんて、空いてる時間は好きなことをすればいいって休日もほとんど放っておかれて、以前はよく行ってた観光(デート)もしてない。

プロポーズの時は、確かに気持ちが通じ合ったと感じたのに……これが俗にいう、“釣った魚にはエサをやらない”的な……ううん、それなら結婚なんてしなきゃよかったじゃない?

もう飽きられた?
気づかないうちに、私何かやらかしたのかな。

いや、そもそも!
プロポーズ=愛されてる、って思ったのは私のカン違い?

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