Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
2. 新婚生活は波乱がいっぱい
――茉莉花! 逃げなさいっ!! 早く逃げるんだ!!
――……〇%$%
小さな私が、転がるように廊下へ飛び出してくる。
怖いくらい真剣なお父さんの声に、背中を突き飛ばされたかのように。
何か、とてつもなく恐ろしいことが起きたんだ。
それだけは、小さな私にもはっきりとわかっている。
階段で膝をぶつけた。
廊下ですべって転んだ。
涙が出るほど痛い、けれど止まってはいけない。
恐ろしいモンスターが、両手を広げて追ってくる。
立ち止まってはいけない。
小さな私は、走って、走って、走って……
――ケホッゴホッ……
息が苦しい。
喉が、目が、痛くてたまらない。
熱い、痛い、熱くて痛い。
苦しい。
痛いよ、お父さん。
痛くて、目が開けられない。
何も見えない。
早く助けて。
お父さん、お父さん。
どうして、どうして助けに来てくれないの……
「お父さん……っっ!!」