Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~


「買ってしまったぁぁ……」


しかも、お揃いのTバックショーツまで。


その日の夜。
自室の姿見鏡の前で買い込んだそれらを身に着けてみた私は、あまりのスケスケっぷりに愕然としていた。

もちろん室温は常に適温だから、寒くて困る、ってことはないとはいえ。
覆われてる部分が少なすぎて、スースーして落ち着かない。

「さささすがにハレンチすぎるよねっ」

全然やっぱり似合わないよ。
妻の頭がおかしくなった、なんて呆れられるのが関の山。
妻スコア減点どころじゃない。離婚の危機だ。

『その下品な格好はなんだ。俺が妻にそんなものを求めるとでも思っていたのか』
『身の程を弁えろ。似合うとでも思っているなら、相当めでたい頭だな』

うぅう、ダメだ。
絶対ダメダメ。

今の所私に対しては寛容な旦那様だとはいえ、元来はオレ様な人だもの。

ビジネスライクにあの低音で一蹴されたら、絶対立ち直れない。
トラウマになる。

うん、やめやめ。
「脱ご」、と教えられた胸元のリボンを引っ張った、その時だった。

玄関の鍵が開く聞き慣れた音、それからドアの開閉音が続く。

バクンッと心臓が跳ねた。

うぅうう嘘嘘嘘!

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