Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

突然開いたドアにびっくりして、大きな口を開けたままフリーズしてしまう。

「おはよう」

セクシーな低音で言いながら入ってきたのはもちろん、濃紺のスーツ姿でビシッと決めたクロードさんだ。

「ぉ、はようございますっっ! もうすぐ用意できますので、どうぞ座ってください」
「あぁ」

私の変顔なんて、スルー。ノーリアクション。
まぁわかってたけどね、と通常運転の彼をこそっと睨んでしまってから、バタバタと卵焼きをお皿へ移し、メインである具沢山の豚汁を器によそう。

「これ、テーブルに運んでもいいのか?」

「え、あ、いえ私が――」

いつものごとく、私がやるので座っててくださいと言おうとして、ハッとした。
“旦那様ともっと仲良くなるための虎の巻 その1素直に感謝を伝える”を思い出したからだ。

「ぉ、お願いしていいですか? ありがとうございます」

笑顔を向けると、クロードさんはなぜか眩しそうに少し目を細めて私を見つめる。
ん? 彼ってもしかして目が悪い?
この前も同じ感じで見られたような……おっと、まずは朝ごはんを完成させなければ!

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