Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「香坂明良さんのご紹介ですね。承っております。本日はご来店ありがとうございます」
徒歩5分程度で到着したそのスクールは完全インドアとのことで、真新しいビルの中にあった。
エントランスホールにはまるでホテルのようにシャンデリアまで輝いてるし、フロントスタッフはCAみたいな制服を着用。しかも美人ぞろい。
ゴルフクラブがディスプレイされていなければ、とてもゴルフスクールには見えないほどのゴージャスさだ。さすが香坂さんが通うスクール、随分高級そうなトコだな。
「それでは、カウンセリングの前にまずはお着替えをしていただきますので、更衣室へご案内しますね」
目を瞠りながら綺麗なお姉さんについていくと、その先の更衣室もすごかった。
ロッカーは一つ一つ大きめでゆったり使えるし、シャワーブースやジャグジー、サウナまで完備。
パウダールームには高級ブランドの基礎化粧品が惜しげもなく並んでいる。
香ちゃんは職場が高級ホテルだけあって慣れてるのか、あまり人がいないのをいいことにさっそくあちこちチェック。
かたや私は、若干その雰囲気に圧倒され気味だ。
庶民な自分がカナシイ。
「では、お着替えがお済みになりましたら、フロントまでまたお越しくださいね」
ロッカーのカギを受け取って、まずは荷物を入れ、持参した動きやすい服――Tシャツとジョガーパンツ――に着替える。
「本格的に通うことになったらさ、ちゃんとウェアとか道具とか揃えたいよね」
「ゴルフクラブっていくらくらいするのかな。高いイメージしかないんだけど」
「そりゃピンキリじゃない? 初心者のうちはまずレンタルでもいいだろうし」
「なるほど、そうだね」
通うことになったらもちろん自分の貯金を使おうと思ってるから、総額いくらになるのかは大いに気になるところ。
続けていくことを考えたら、残高とも相談しないと……
そんなことを話しているうちに、着替えが終了。
私たちはフロントへ戻ろうと連れ立って廊下に出た。
「……まぁ、奥様?」