Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
へ? え、あれ?
取り付く島もなく秒で却下されて、続く言葉をひゅっと飲み込んだ。
私に甘い(厳しくない方)彼のことだから、あっさりお許しがでるかと思ったのに、この反応は予想してなかった。
それに……なんか不機嫌?
え、そんな地雷、どこかにあったっけ?
「あのシェルリーズホテルですよ? 超高級なちゃんとしたホテルで」
「シェルリーズが高級だってことはわかってる。でもダメだ」
「い、いつも通り家事もやりますよ? お弁当だって毎日」
言い募る私を拒絶するように彼は腕を組み、ソファにもたれて冷ややかな視線を寄越す。
「何が欲しいんだ? カバンか? 宝飾品か?」
「ちっ違います! そういうことじゃっ……」
「前から言ってるが、俺の金は茉莉花の金だ。カードを渡してあるだろう? 金額なんて気にしないで、どんどん使って構わない。俺の許可をいちいちとる必要もない」
「ちが、違く、てっ……」
なんだかいろいろすれ違ってる気がして、そうじゃない、と上手く言葉にできないもどかしさばかりが膨らんでいく。
「じゃあ、どういうことなんだ?」
「ええと、一人で家にいると、寂しいっていうか。時間を持て余してしまいますし、何か理由がないと一日籠ってしまうので……」
「趣味を持ったらどうだ? 音楽でもスポーツでも、いろいろあるだろ?」
「それはその、ちょっと挑戦してみたんです、ゴルフ。でも私には合わないみたいで……」
まさかこんなところで言うことになるとは、と思いつつ告白するが、「ゴルフに興味あったのか?」って不思議そうに返されてしまった。
「だって、クロードさんお好きですよね? よく行かれてるし……」
「俺? ゴルフは仕事の延長だ。好きだとか趣味だとか思ったことはないな」