Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
「えぇ? そうなんですか?」
そういえば、この前のも接待ゴルフだったっけ。
嘘でしょ……はぁ、完全にリサーチミスだ。
落ち込む私へ、「そもそも」と鋭い声が追い打ちをかける。
「俺の好みに合わせる必要なんかないだろう。なんでも茉莉花の好きなことをすればいい。いくつか試してみて、気に入るものだけ続けるとかな。道具だって教材だって、金ならいくら使っても構わないから。旅行だって行けばいいし、ペットを飼うのもいいかもしれないな。俺も昔犬を飼っていたが、いいもんだぞ」
そういうことじゃないんだってばぁああああーーーーっ!!!
脳内でジタバタと地団駄踏む私。
もちろん彼の前でみっともない真似もできず、「そうですね、考えてみます」となんとか愛想笑いを向けた。
すると、彼はホッとしたように息を吐く。
「なんだ、そんなことだったのか。俺はてっきり……」
「え? てっきり……なんですか?」
「いや、なんでもない」
言葉を濁したまま彼は曖昧に首を振り、「じゃあ、もう部屋に行くから」と立ち上がろうとする。
そこでようやく、もう一つ聞かなきゃいけないことがあるって思い出した。
「クロードさんっ」
声をかけると、彼は律儀に浮かせた腰を再び下ろしてくれた。
「今度、男の人と会ってきても構いませんか?」
「…………は?」
たちまち吹き荒れた(ような気がする)冷気に、ひぃっと慄く。
しまった。言い方!
さすがにこれは私でもわかる!