Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
5. ここが旦那様の職場、ですか??
「ん、……」
瞼を薄く開けると、明るい光が視界に差し込んだ。
もう朝?
なんだかすごく幸せな夢を見ていたような……
パチパチ瞬き、陽光に目が慣れるのを待つ。
はぁ、いい夢だったなぁ。クロードさんがキスしてくれるなんて。
ここんとこ、ずっとあの悪夢で飛び起きる日が続いてたから。
へにゃっと溶けた顔のまま考えて、上体を起こす――途端、ズキンッと走る痛みにこめかみをきつく押さえた。
「ぃったぁ……」
ナニコレ。頭、割れそう。
あぁこれが二日酔いってやつかぁ。
あんだけ飲めばそりゃ……って、え?
私……昨夜……
周囲に視線を巡らせれば、そこは見慣れた自分の部屋。
んん?
ベッドに入った記憶が全くないんですが?
昨夜はブルームーンで飲んでて、大分酔っぱらったよね。
それで……その後……どうしたっけ?
柊馬に送ってもらったんだっけ?
……ん? いや、違うぞ??
――茉莉花、帰るぞ。立てるか?
――……立て、ない……おんぶ。
ちょっと待って。
――しっかり掴まってろよ茉莉花。
――……あーい。
待て待て待て。
なんか、うっすらと記憶がある、ような。