Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
クロードさんが迎えに来てくれて……
――行かないで。
――っ、何を言ってるのか、わかってるのか?
そうだ、クロードさんがここに私を……
ま、まさかまさか私っ……あのままクロードさんとっ!?
ガバッと布団を跳ねのけて自分の格好を見下ろすが、ちゃんとパジャマは着てる。
下半身に違和感が、とかなんとか、小説で読んだそれっぽいことも特に感じない。
じゃあ……何もなかったってこと?
キスも、やっぱり……夢か。
なぁんだ、とちょっとがっかりして、再びベッドへ倒れ込んだ。
瞬間、ふわり、と鼻孔をくすぐったのはエキゾチックなムスク。
クロードさんが好んでつける香りだと気づいて、ドキッとした。
――一人に、しないで。
なんとなく覚えてる。抱きしめられた、気がする。
もしかして、私が頼んだから……一緒に寝てくれた?
朝までかどうかはわからないけど、少なくとも香りが移るくらいの間は。
うわぁあああ……
熱くなった頬を押さえて、そのままジタバタ。
添い寝だ添い寝!
は、恥ずかしいっでも、嬉しいっ……
変な寝言とか言ってなかったかな。
よだれとか大丈夫だったかな。
歯ぎしりとかしてなかっただろうな!?
不安もチラリとよぎったものの、それを上回る幸福感で満たされた私は頭痛もなんのその、愛おしい匂いを求めて枕へ鼻を埋め――ハッと固まった。
「やだっ今何時っ!? 8時!? ぎゃあああっクロードさんの朝ごはんっ!!」