Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

その後到着した警察によって課長は起こされ(どうやらクロードさんの一撃で伸びてしまったらしい)、連行されていった。
私やクロードさんは簡単に話を聞かれた後、さらに詳しく警察署で事情聴取の予定だったのだけど。
逃げる際にひねった足首が腫れてきてしまい、治療が先だとクロードさんが警察を説得。付近で一番大きな大学病院まで、付き添ってくれた。

何度ももう一人で大丈夫だから、先に事情聴取を受けて仕事に戻ってくれってお願いしたのに聞いてくれず、強制的に同行。

あんな体験した直後だし、ケガはもちろん、私のメンタルを心配してくれてるんだろうな。

その気持ちはありがたいのだけど……無理してるとかじゃなくて、本当に今の所、割と落ち着いていたりする。
どうしてかなって考えて思い浮かぶのは、クロードさんの緊迫した表情や乱れた呼吸、微かに震えていた身体――

もちろん、今日の出来事は確かにショックだったよ?
圧倒的な男女の力の差に絶望したし、ヤられるって覚悟もした。

だからこそ、かな。
いつもはクールな彼が危険も顧みず必死になって駆けつけてくれた、救い出してくれた、その行動のインパクトが大きすぎて、恐怖が上書きされちゃってる、みたいな感じ。

はぁ……こんなに好きにさせて、一体この人はどうするつもりだろう?

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