余命約一年の君は

突然来た、転校生

僕はクラスで浮いている、気がする。
気にしすぎなだけかもだけど、どうも僕の付近には誰も立ち寄らない。
というか、立ち入り禁止エリアのように、クラスメイトから避けられていた。
だが、その理由は僕にある、と思う。
なぜなら、趣味が読書、だから。
僕自身、一人の方が好ましいので、今まで友達を作ったことがない。
ただ一度だけ、友達を作りたいと思ったことはあった。
だけど、なかなか作れなかった。
でも、今の僕は違う。
自分の好きなことを馬鹿にするやつも、気にしない僕になっていた。
だから当然、避けられるに決まっているだろう。
そんなこと考えてると、クラスの担任、早川先生が入ってきた。
早川先生は、二十代後半の女性の若手教師だ。
見た目から、優しい教師だと分かるくらい、華やかな先生だ。
「おはようございます。朝から大変だけど、今日から転校生が入ってきます。」
どうぞ入ってー、と言う早川先生の声と同時に、クラスの扉がガラガラ、と開いた。
誰だろう、とワクワクしている自分に、僕はびっくりした。
「こんにちは、早瀬凛です。急だけど、今日からよろしくお願いします。」
だけど、違った。
間違いなくこの子は、女子だ。
はあ~、とため息をつきそうな自分の口を押えて前を向いた。
「じゃあ、席は・・・田中さんの横がちょうど空いてるわ。そこに座ってね。」
え、え、え~!
女子だとがっかりした僕なのに、まさか席が隣だと?!
そして、彼女は僕の隣の席に向かってくる。
待て、待てよ。
どうすればいいんだ?
「これからよろしくね。私は早瀬凛。君は何て名前なの?」
急に話しかけられ、僕はびっくりした。
「ぼ、僕は・・・田中翔。よ、よろしく。」
なんとか自己紹介ができたものの、やっぱり緊張する。
でも、僕は思った。
僕に名前を聞く?
僕の相手をしてくれる?
そ、それって、なんで?
今まで僕を相手にしてくれるのは家族だけだったのに。
男子はともかく、女子だぞ?
この時、初めての感情が浮かび上がってくる。

―――――――もしかして僕は、彼女を好きになってしまったかもしれない、と。

< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop