年下ヤンキーをなめちゃいけない理由
「メイド喫茶……やってます……」
つ、疲れた……。
気づけばもうすぐで校内一周だというところ。すでにもう私はヘロヘロで、体力が充電切れしてしまいそうなほどだった。
あ、あとちょっと……。
大きなため息をつきながら看板を下げると、トンっと誰かと肩がぶつかった。
「わっ……」
思わぬ衝撃によろめく。
誰かにぶつかっちゃったかも。
「すみません……!お怪我はないですかっ?」
振り返って、今ぶつかった相手に謝る。
私がぶつかってしまったのは、大学生くらいの男の人二人組で、なんだか派手な人たちだった。
わ、なんだか、チャラいな……。
派手な金髪にピアスをつけている二人組は、私を見て笑みを浮かべる。
「ぜーんぜん大丈夫!ってか、おねーちゃん、めっちゃかわいいね?」
「え、あ……はあ……」
そんなことを言う相手、本当に私であってるのかな?首を傾げながらもぺこりと頭を下げると、クラスに戻ろうとする___けれど。
「今から俺たちと回んない?」
なぜだか、二人組は私と逆の方向に進んでいたはずなのに、私についてくるみたい。
見てわかんないの……!?今、どうみても仕事中じゃん!
そんな視線を送るも、男の人は気にしない素振りを見せる。
「結構です……」
「そんなこと言わないでさー?いいじゃんか」
「えっ……」
気づけば、私の両側に回った二人は、腕をガッチリとホールドした。
「俺らとちょっと楽しいことしようよ」
「ね?」
ニヤリと怪しい笑みを浮かべて、どんどん人気のない所へ無理やり連れて行かれる。
「え、ちょっと……やめてください」
さっきから強すぎる力で掴まれている腕が痺れてくる。こっちは女子なんだから、手加減くらいしてよ……!
思いっきり手を振り払おうとしても、さらに強く抑え込まれるだけで、痛みが勝ってしまう。
「っ……」
人気のない空き教室に乱暴に放り込まれるようにして、勢いをつけて腕を離された。その反動で、勢いよく床に手をついた。
「大人しくしないと優しくしないよー?」
なに、この人たち……!
これから何する気なの……!?
「ってか、君ほんっとにいい体してるね?」
男の人は、私の上にまたがって、ツー、と太ももを撫でる。
「脚も細いし、色白だし」
一気に顔から血の気が引く感覚がする。
「や、やめて……っ」
ググッと押しても、やっぱり男の人の力には敵わなくて。
なんで……?
何も対抗できない自分が悔しくて。何よりも、この状況が怖くて。
ポロポロポロと、涙が目から溢れた。
「泣いちゃったぁ?」
「大丈夫だって。今から俺らがそんなことも考えらんないくらい良くしてあげるから〜」
シュル……と、メイド服の胸元のリボンが解かれるとともに、スカートの中にも手が入ってきて。
「っ……や、だ……」
嗚咽と恐怖でうまく声が出なくなって、何も抵抗ができなくなって。
あぁ、看板娘なんて、本気で嫌だって断ればよかった___。
もう、何も考えられなくなった、そんな時だった。
___バキッ!!!
そんな鈍い音が教室に響いて、上に乗っていた重みがふいになくなったのは。