年下ヤンキーをなめちゃいけない理由

風邪






12月25日___。

クリスマスの今日は、朝からソワソワして落ち着かない気分だった。


だって、だってだって。


今日は、初めて流くんと休みの日に会う日だから……!


つまり、初めてのデート……!

デート、という響きにひとりで恥ずかしくなりながらも、1時間もかけて選んだ服を着る。


こ、これでよかったかな……?変じゃないかな。
そう思いながらも、姿見で何度も自分の格好を確認する。

いつもならしないメイクも、何度もやり直して。



「流くん……可愛いって、思ってもらえるかな」



きっと流くんは、口には出さない。でも、かわいいって思ってもらうだけでいいから、今日は今までで1番かわいい私で会いたい。


約束の時間は、10時。それまで、30分ほどある。


座るのも立つのもなんだか居心地が悪くて、ついに家を出ることに……。
ちょっと速く着いちゃうことになるけど、別にいいよね。


早く会いたいなぁ、と口が緩むのを抑えながら、玄関で靴を履いていると、スマホからメールの通知オンピロン♪と鳴った。

すぐに見ると、メッセージの送り主の名前が「流」になっている。


な、流くん……!

どうしたんだろう、と、慌ててメッセージを開くと、そこには《おはようございます。すみません》の文字。


いやいや、たしかにおはようだけど……。すみませんって、何かあったのかな……!?


どうしたの、と文を打っていると、続け様に流くんからの新着メッセージが届く。




《風邪ひいたんで、行けなくなりました。ほんとにすみません》


「えっ……」


そんな堅い文章とは裏腹に、かわいいウサギのミニキャラが謝っているスタンプ。


流くん、風邪ひいちゃったの……!?
ここ最近、流くんぼーっとしてること多いなって思ってたら、やっぱり体調良くなかったんだ……!!


だ、大丈夫かな……?お見舞い、行こうかな。


でも私、流くんの家知らないや……。
家の住所、聞いておけばよかったなぁ……!


きっと、「お見舞いに行っていい?」なんて聞いたら、流くんは即拒否するだろう。

だから、流くんに家の位置も聞けないし……。



でも流くん、たしかこの前一人暮らしだから門限なんてないって……言ってたような……。


一人暮らしってことは、看病してくれる人もいないってこと。
そんなの、放っておけないよ……!

と、とりあえず、何がなんでも流くんの家の住所を聞こう!


《よかったら、流くんの家の住所教えて欲しい》


おかしいよね、いきなりこんなメッセージが来たら……。
でも、お見舞いに行くって決めたんだから……!


私は履き掛けだった靴をしっかりと履くと、足早にコンビニへと向かった。












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