年下ヤンキーをなめちゃいけない理由
ピーンポーン___
家のチャイムが鳴る。
配達員さんかな?そう思って、相手を確認することなく出ると、そこには背の高い男の人が立っていた。
センターで分けられた黒髪。
そして、整った顔立ち。
そして___。
「どーも、隣に引っ越してきました」
私を見る時だけの、優しい目。
「え……えっ、え……?」
「ふはっ、『え』しか言ってないじゃん」
そんな彼の大好きな声が、直接耳に入ってくる。
「か、髪が……えっ?な、流く……?」
遅れてようやく理解した私の喉からは、たどたどしい言葉しか出てこないことに、目の前に立つ彼は、数年前よりも大人びた表情で微笑んだ。
「もう先輩でもなんでもないね。海花」
すっかり大人びた黒髪の彼___流くんに、私は迷わず抱きついた。
「はっ、嬉しいのはわかるけど、ここ玄関ですよ」
まだ敬語の抜け切らない口調で流くんは、自然に玄関に入ってくる。
「ずっと会いたかった」
その言葉を合図に、流くんは、私に口付けをする。
私よりも年上なんじゃないかってくらい、流くんの色気に私の脳は支配されて行く。
やっぱり、流くんは舐めちゃいけない。
___年下ヤンキーを、舐めちゃいけない。
『年下ヤンキーをなめちゃいけない』〜 Fin〜