きゅんする毎日の結末
せとかside
次の日もいつもと同じ。
朝教室に入った瞬間に「おはよう」って挨拶してくれる真山くんに、胸がキュンと弾む。
照れてしまう表情を誤魔化しながら「おはよう」って返す。
このやりとりがいつも嬉しくてたまらなくて、毎日のことなのになかなか慣れてくれない。
休み時間。教室の中。
友達と話している真山くんにふと向けた視線がぶつかった瞬間に、目元が緩んで微笑んでくれる。ふんわり上がった口角に、あたしまで笑顔になってしまう。すぐに友達と話を再開した真山くん。
ほんの数秒のことなのに、あたしの胸の中がキュンで埋め尽くされる。
「せとか、今月誕生日だよね! プレゼント何が欲しい?」
「え!? あー、忘れてたー」
「もう、自分の誕生日忘れないで」
移動教室からの帰り道、里麻と喋りながら歩いていると、廊下ですれ違い様に真山くんを発見。
心の中で「こっち向いて」と願うと、目が合って微笑んでくれた。願いが通じた! 嬉しくて飛んでしまいそうなくらい足取りが軽くなる。
教室に戻ると、里麻がもふもふペンケースから隠すようにリップを取り出した。
「これ、めっちゃ可愛くない? 色付きリップ。つけるとばれちゃうから持ってきただけだけど、せとかもつけたりする?」
里麻はお姉ちゃんがいて、一人っ子のあたしと違っていろんなことを知っていて教えてくれる。もちろんあたしは気になるアイテムではあるけれど、持っていない。
「興味は……ある」
「だよねー! せとか色白だからピンクとか淡い色でもかわいいかもーっ。ねぇ、あたしが選んでプレゼントしてもいい?」
「うん! うれしい」
「放課後塗ってみよっか」と、ワクワクが止まらない。
真山くんを好きになってから、毎日毎日、あたしの中のきゅんは真山くんでいっぱいに満たされていく。
「せとか、今月誕生日なの?」
部活へ向かう前に、あたしの席まできた真山くんが聞いてきた。
「うん……そうみたい。さっき里麻に言われて思い出した」
てへへと、おどけて笑ってしまう。
里麻が覚えていてくれたことだけでも嬉しかったのに、まさか真山くんにまで誕生日を気にしてもらえるだなんて、嬉しすぎてもう泣きそうだ。
「なにそれ。自分の誕生日くらい覚えとけって」
そう言って無邪気に笑う真山くんに、またあたしの胸のきゅんが増える。
「なんかほしいのある?」
「……え?!」
「ほら、せとかにはいつも世話になってるし。なんかお礼したくて」
もしかして、照れている? 声が徐々に小さくなる真山くんに、あたしは慌てて首を横に振った。
「そ、そんなっ、お礼はほら。これももらったし、大したことしてないし……」
あたしは昨日もらって大事にしまっておいた、はちみつレモンキャンディーをペンケースから取り出してみせた。
「あれ? まだ食ってなかったの? もしかして好きじゃなかった? その味」
「え?! ううん、好きっ、すっごく好きな味だったから、もったいなくて……」
慌ててしまうあたしに対して、呆気に取られたような顔をしている真山くん。あたしが不思議に思って首を傾げると、真山くんの顔がほんのり赤く染まっていく気がした。
口元に手を当てて「なら、早く食べなよ」そう言って、真山くんは去って行ってしまった。
「どうしたんだろう」
あたしは手のひらにのせたキャンディを眺める。
真山くんがくれたものだから、嬉しすぎてすぐには食べられなかった。だって、食べたら終わり。なくなっちゃうし、なんだかそれってもったいない。けど。
「食べて欲しかったのかな」
ポツリと呟いて、あたしはまた胸の中がきゅんと暖かくなった。
朝教室に入った瞬間に「おはよう」って挨拶してくれる真山くんに、胸がキュンと弾む。
照れてしまう表情を誤魔化しながら「おはよう」って返す。
このやりとりがいつも嬉しくてたまらなくて、毎日のことなのになかなか慣れてくれない。
休み時間。教室の中。
友達と話している真山くんにふと向けた視線がぶつかった瞬間に、目元が緩んで微笑んでくれる。ふんわり上がった口角に、あたしまで笑顔になってしまう。すぐに友達と話を再開した真山くん。
ほんの数秒のことなのに、あたしの胸の中がキュンで埋め尽くされる。
「せとか、今月誕生日だよね! プレゼント何が欲しい?」
「え!? あー、忘れてたー」
「もう、自分の誕生日忘れないで」
移動教室からの帰り道、里麻と喋りながら歩いていると、廊下ですれ違い様に真山くんを発見。
心の中で「こっち向いて」と願うと、目が合って微笑んでくれた。願いが通じた! 嬉しくて飛んでしまいそうなくらい足取りが軽くなる。
教室に戻ると、里麻がもふもふペンケースから隠すようにリップを取り出した。
「これ、めっちゃ可愛くない? 色付きリップ。つけるとばれちゃうから持ってきただけだけど、せとかもつけたりする?」
里麻はお姉ちゃんがいて、一人っ子のあたしと違っていろんなことを知っていて教えてくれる。もちろんあたしは気になるアイテムではあるけれど、持っていない。
「興味は……ある」
「だよねー! せとか色白だからピンクとか淡い色でもかわいいかもーっ。ねぇ、あたしが選んでプレゼントしてもいい?」
「うん! うれしい」
「放課後塗ってみよっか」と、ワクワクが止まらない。
真山くんを好きになってから、毎日毎日、あたしの中のきゅんは真山くんでいっぱいに満たされていく。
「せとか、今月誕生日なの?」
部活へ向かう前に、あたしの席まできた真山くんが聞いてきた。
「うん……そうみたい。さっき里麻に言われて思い出した」
てへへと、おどけて笑ってしまう。
里麻が覚えていてくれたことだけでも嬉しかったのに、まさか真山くんにまで誕生日を気にしてもらえるだなんて、嬉しすぎてもう泣きそうだ。
「なにそれ。自分の誕生日くらい覚えとけって」
そう言って無邪気に笑う真山くんに、またあたしの胸のきゅんが増える。
「なんかほしいのある?」
「……え?!」
「ほら、せとかにはいつも世話になってるし。なんかお礼したくて」
もしかして、照れている? 声が徐々に小さくなる真山くんに、あたしは慌てて首を横に振った。
「そ、そんなっ、お礼はほら。これももらったし、大したことしてないし……」
あたしは昨日もらって大事にしまっておいた、はちみつレモンキャンディーをペンケースから取り出してみせた。
「あれ? まだ食ってなかったの? もしかして好きじゃなかった? その味」
「え?! ううん、好きっ、すっごく好きな味だったから、もったいなくて……」
慌ててしまうあたしに対して、呆気に取られたような顔をしている真山くん。あたしが不思議に思って首を傾げると、真山くんの顔がほんのり赤く染まっていく気がした。
口元に手を当てて「なら、早く食べなよ」そう言って、真山くんは去って行ってしまった。
「どうしたんだろう」
あたしは手のひらにのせたキャンディを眺める。
真山くんがくれたものだから、嬉しすぎてすぐには食べられなかった。だって、食べたら終わり。なくなっちゃうし、なんだかそれってもったいない。けど。
「食べて欲しかったのかな」
ポツリと呟いて、あたしはまた胸の中がきゅんと暖かくなった。