きゅんする毎日の結末
真山side
今こそ兄の彼女、紗和先輩を利用する、いや、頼るとこだよな。誕生日のプレゼント、絶対にせとかに喜んでもらいたいし。
そう思って、あらかじめ昨日兄ちゃんに会いにきた紗和先輩に頼み込んでいた。
『えーーー! 颯太彼女いるの!? まじ! やるぅーっ』
相変わらず耳に響くほどに騒がしい。これが学校だったら一発でみんなに俺の気持ちなんかバラされてしまうと、なんだか怖くなる。
『彼女じゃないです……まだ』
『え! どうしよう、どこがいいかなぁ』
俺の否定する言葉など聞いちゃいないけど、まぁ別にいいか。いつかは彼女になってほしいし。
『何ニヤけてんのー』
あざ笑う顔の紗和先輩がうざいが、協力してもらうから下手なことは言えない。
『じゃあ明日学校終わったら、交差点んとこで待ってて』
『わかった』
と、言うか、彼女が弟と買い物行くとか心配じゃないのかな。俺が紗和先輩を好きになることは絶対にないから大丈夫だけど。
チラリとすぐ横にいた兄ちゃんを見ると、スマホから視線を上げてフッと笑った。
『別になんも問題ないよ。行ってらっしゃい』
余裕ぶった笑顔がなんだかムカつきもするが、なんだかうらやましくもある。
『だって。じゃあ明日ねー』
紗和先輩にまで余裕で手を振られる。
あー、いつか俺もこんなふうにせとかと安心して付き合いてぇ。
声には絶対に出さないけどな。
いつも通りの仲間と分かれて、紗和先輩を待つ。
「颯汰ごめんー、待った?」
「大丈夫です。今さっき友達と分かれたとこなんで」
手を振って向かってくる紗和先輩に、俺も手を振りかえす。
あー、これがせとかだったらめちゃくちゃ幸せだよなぁ。ついせとかが笑顔で走って来てくれる姿を想像して、ニヤけてしまう。
「またニヤけてるよ〜。ほら、行くよっ。彼女へのプレゼント探しっ」
「おう、よろしくお願いします! ってか、まだ、彼女じゃないけど……」
とりあえずそこはまだ否定しておく。
いつか本当に彼女になってもらえる日が来るといいな。
だって、喜んでくれるせとかの笑顔を見るのが、今の俺の一番の楽しみなんだから。
紗和先輩のオススメで連れてこられたのは、男だけでは絶対に来ないだろうファンシーでキラキラな雑貨店。お客さんも女子率が高いし、なんだか入るのに抵抗がある。入り口で立ち止まっていると、紗和先輩に手を引かれる。
「颯太何してんの? いくよ!」
グイグイ引っ張られて、容赦なく女子感たっぷりのもふもふキラキラの店内に連れ込まれる。
「彼女の欲しいものとか聞けたのー?」
「だからまだ彼女じゃ……て、それ、聞けてないんですよね」
思わずため息を吐き出してしまう。あのあと聞きにまた行けばよかったんだろうけど、どうにもせとかの「好き」(自分に言われたわけじゃない)の言葉が破壊力凄すぎて、考えただけで恥ずかしくて行ける状態じゃなかった。
「じゃあ、自分で彼女がもらって嬉しいもの探しなー」
コスメの棚を物色し始めた紗和先輩に背を向けて、文房具の並ぶコーナーへと行ってみる。
「あ、これ可愛いな」
文房具コーナーの途中にあったお菓子売り場に足を止めた。目に入ったのは小さな星形のキャンディ。
すぐに、せとかの笑顔が浮かんでくる。
「ん? じゃあ、プレゼントこれとかいーんじゃない?」
星のキャンディーを手に取って見ていた俺に、いつの間にか隣に並んでいた紗和先輩が、シャープペンシルの並ぶ棚を指差す。
即決だった。
その中でも一番キラキラしてて可愛くて、せとかにピッタリのシャーペンを見つけた。
いつも話しかけるきっかけを探して、つい行動パターンはシャーペンを借りるというワンパターン。
もう何回借りたことか。
そして、またこれをあげて「俺が忘れた時用に持っといて」なんて言っとけば、借りに行く口実ができる。
「……だから、ニヤけすぎ」
キャンディとシャープペンシルを持って、ついフフフと笑いを溢してしまった俺に、呆れて紗和先輩は笑っていた。
そう思って、あらかじめ昨日兄ちゃんに会いにきた紗和先輩に頼み込んでいた。
『えーーー! 颯太彼女いるの!? まじ! やるぅーっ』
相変わらず耳に響くほどに騒がしい。これが学校だったら一発でみんなに俺の気持ちなんかバラされてしまうと、なんだか怖くなる。
『彼女じゃないです……まだ』
『え! どうしよう、どこがいいかなぁ』
俺の否定する言葉など聞いちゃいないけど、まぁ別にいいか。いつかは彼女になってほしいし。
『何ニヤけてんのー』
あざ笑う顔の紗和先輩がうざいが、協力してもらうから下手なことは言えない。
『じゃあ明日学校終わったら、交差点んとこで待ってて』
『わかった』
と、言うか、彼女が弟と買い物行くとか心配じゃないのかな。俺が紗和先輩を好きになることは絶対にないから大丈夫だけど。
チラリとすぐ横にいた兄ちゃんを見ると、スマホから視線を上げてフッと笑った。
『別になんも問題ないよ。行ってらっしゃい』
余裕ぶった笑顔がなんだかムカつきもするが、なんだかうらやましくもある。
『だって。じゃあ明日ねー』
紗和先輩にまで余裕で手を振られる。
あー、いつか俺もこんなふうにせとかと安心して付き合いてぇ。
声には絶対に出さないけどな。
いつも通りの仲間と分かれて、紗和先輩を待つ。
「颯汰ごめんー、待った?」
「大丈夫です。今さっき友達と分かれたとこなんで」
手を振って向かってくる紗和先輩に、俺も手を振りかえす。
あー、これがせとかだったらめちゃくちゃ幸せだよなぁ。ついせとかが笑顔で走って来てくれる姿を想像して、ニヤけてしまう。
「またニヤけてるよ〜。ほら、行くよっ。彼女へのプレゼント探しっ」
「おう、よろしくお願いします! ってか、まだ、彼女じゃないけど……」
とりあえずそこはまだ否定しておく。
いつか本当に彼女になってもらえる日が来るといいな。
だって、喜んでくれるせとかの笑顔を見るのが、今の俺の一番の楽しみなんだから。
紗和先輩のオススメで連れてこられたのは、男だけでは絶対に来ないだろうファンシーでキラキラな雑貨店。お客さんも女子率が高いし、なんだか入るのに抵抗がある。入り口で立ち止まっていると、紗和先輩に手を引かれる。
「颯太何してんの? いくよ!」
グイグイ引っ張られて、容赦なく女子感たっぷりのもふもふキラキラの店内に連れ込まれる。
「彼女の欲しいものとか聞けたのー?」
「だからまだ彼女じゃ……て、それ、聞けてないんですよね」
思わずため息を吐き出してしまう。あのあと聞きにまた行けばよかったんだろうけど、どうにもせとかの「好き」(自分に言われたわけじゃない)の言葉が破壊力凄すぎて、考えただけで恥ずかしくて行ける状態じゃなかった。
「じゃあ、自分で彼女がもらって嬉しいもの探しなー」
コスメの棚を物色し始めた紗和先輩に背を向けて、文房具の並ぶコーナーへと行ってみる。
「あ、これ可愛いな」
文房具コーナーの途中にあったお菓子売り場に足を止めた。目に入ったのは小さな星形のキャンディ。
すぐに、せとかの笑顔が浮かんでくる。
「ん? じゃあ、プレゼントこれとかいーんじゃない?」
星のキャンディーを手に取って見ていた俺に、いつの間にか隣に並んでいた紗和先輩が、シャープペンシルの並ぶ棚を指差す。
即決だった。
その中でも一番キラキラしてて可愛くて、せとかにピッタリのシャーペンを見つけた。
いつも話しかけるきっかけを探して、つい行動パターンはシャーペンを借りるというワンパターン。
もう何回借りたことか。
そして、またこれをあげて「俺が忘れた時用に持っといて」なんて言っとけば、借りに行く口実ができる。
「……だから、ニヤけすぎ」
キャンディとシャープペンシルを持って、ついフフフと笑いを溢してしまった俺に、呆れて紗和先輩は笑っていた。