夫に私を殺させる方法
 夫が「事故」だと言いはれば、保険金がおりることは確実でしょう。
 また、このように確実かつ安全な暗殺の機会を1年以上先にあらかじめ設定しておけば、それ以前に殺そうという気もおきないに違いありません。保険金の免責期間である1年間、身の安全を確保することもできます。


 私は自分の思いつきに興奮しましたが、問題は、それをどうやって夫に伝えるかです。

 そもそも夫は、私が私の暗殺計画を知っていることを知りません。そのため、ストレートに「私実は知ってるんだけどー」と話し出した瞬間、ブスリと刺される可能性もあるのです。


 仮に夫が刺さないとしても、家には盗聴器などがあるかもしれませんし、夫の組織から危険人物とみなされて殺られることもあり得るでしょう。

 そうなっては保険金計画は台無しですから、やんわりと、かつ自然に、「鍾乳洞探検ツアーが私の暗殺にお勧めだよ」ということを夫に気付かせなくてはなりません。

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