夫に私を殺させる方法
 しかしながら、夫と私の会話と言えば、今現在でも、事務的な内容に限られています。しかも互いに一言ずつ必要最低限の会話しかしていないという状態です。

 それなのに私が突然、何の脈絡もなく

「そういえば鍾乳洞探検ツアーというのがあるらしくてー。小さな鍾乳洞なんですけどー。
 落ちたら、命はないと思うんです。でも落ちても事故なのかどうか、誰にも見分けがつかないと思うんですよねー!」

 とかベラベラ喋りだしたら、あまりにおかしいでしょう。というか、夫に向かって、そんなに長く喋れる気も致しません。


 けれど娘のため保険金のため、諦めるわけにはいかないのです。


――案じるより産むが易し!

 私は、まず簡単にできることから、始めることに決めました。

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