夫に私を殺させる方法

Step.3 体調は万全に

――おかしい。


 私は首を傾げました。

 これほど自然かつ良い感じに、鍾乳洞アピールを続けているというのに、夫は全くといって、鍾乳洞に興味をもつ様子がありません。
 アピールが自然過ぎたのでしょうか。それとも、夫がかなりボンクラなのでしょうか。


 そこまで考えて、私は、自分のミスに気が付き、愕然としました。


――夫は、外国人!


 そもそも、夫は、鍾乳洞の何たるかが、分からないのに違いありません。 

 鍾乳洞がツルッと滑りやすくて、暗くて、暗殺にもってこいの場所であることなど、我が国の人間であっても直ちには思い至らないでしょう。
 ましてや、外国人の夫に想像できないのは当然といえます。そのことに気付かない私の方がどうかしていました。


――もう少し、分かりやすく示唆する必要があるようです。

 私は一人頷きました。

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